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アルマ望遠鏡が“星のジェットで変形した原始惑星系円盤”を捉えた 惑星形成の場への直接的影響を示唆

形成されたばかりの若い星を取り囲む、ガスと塵(ダスト)の円盤「原始惑星系円盤」。

惑星が形成される現場とされるこの円盤が、若い星から放出されたジェット(細く絞られたガスの高速な流れ)の影響を受けて変形することを発見したとする研究成果を、茨城大学の逢澤正嵩助教と百瀬宗武教授、それに東京大学大学院の折原龍太特任研究員(現在、研究当時は茨城大学理工学研究科博士後期課程に在籍)が発表しました。

ジェットが生んだバブルと原始惑星系円盤が衝突する様子を捉えていた

3名は、チリの電波望遠鏡群「アルマ望遠鏡(ALMA)」の観測データを使用して、へびつかい座の方向・約440光年先にある原始惑星系円盤に囲まれた若い星「WSB 52」を詳細に調べました。

その結果、円盤の回転軸の延長線上に爆発的に膨張するバブル構造があること、バブルが生み出した衝撃波によって円盤の形がゆがみ、一部のガスが吹き飛ばされている様子が観測されていたことがわかったといいます。

アルマ望遠鏡のデータを分析することで、あたかもCTスキャンのように、3名はバブル構造の断面を調べることができました。

膨張するバブルが生み出した衝撃波によって形がゆがめられた原始惑星系円盤の想像図(Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), M. Aizawa et al.)
【▲ 膨張するバブルが生み出した衝撃波によって形がゆがめられた原始惑星系円盤の想像図(Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), M. Aizawa et al.)】
左:アルマ望遠鏡(ALMA)が観測したWSB 52のCO(一酸化炭素分子)輝線のデータ。右:今回の研究で示されたWSB 52の原始惑星系円盤とバブルの概念図。私たちは右図の上方からWSB 52を観測していて、左図に付与された番号は右図右端に示されているバブルの高さに対応した断面の様子に対応している(Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), M. Aizawa et al.)
【▲ 左:アルマ望遠鏡(ALMA)が観測したWSB 52のCO(一酸化炭素分子)輝線のデータ。右:今回の研究で示されたWSB 52の原始惑星系円盤とバブルの概念図。私たちは右図の上方からWSB 52を観測していて、左図に付与された番号は右図右端に示されているバブルの高さに対応した断面の様子に対応している(Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), M. Aizawa et al.)】

円盤とバブルの配置やバブルの形状とエネルギーをもとに、3名は、WSB 52から放出された高速のジェットが低温の分子雲に衝突することで、星の近くで膨張するバブルが形成されたと結論付けました。

現在観測されているのはジェットの放出から数百年後の段階であり、円盤の様相は膨張するバブルとの衝突の影響を受け続けてきた結果だと考えられています。

星が放出するジェットに関して、これまでは周辺の環境へ物質やエネルギーを間接的に供給する役割が注目されてきたといいます。一方、今回の研究は、バブルを介してジェットが原始惑星系円盤に直接的な影響を与える可能性を示すものとなりました。

仮に、WSB 52で観測されたような爆発的に膨張するバブルの形成が若い星で普遍的に発生しているとすれば、太陽系の形成過程も影響を受けた可能性があります。今後はこうした現象が発生する頻度や原始惑星系円盤への影響をより詳しく調べることで、恒星や惑星系の形成過程に関する理解がより深まることが期待されます。

【▲ ジェットの放出、バブルの形成、衝撃波による原始惑星系円盤の変形といった一連の過程を示したCGアニメーション(Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), M. Aizawa et al.)】

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典