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こちらは、南米・チリの電波望遠鏡群「アルマ望遠鏡(ALMA)」が観測した棒渦巻銀河「M83(Messier 83)」。うみへび座の方向、地球から約1500万光年先にあります。

アルマ望遠鏡(ALMA)が観測した棒渦巻銀河「M83(Messier 83)」(Credit: ALMA(ESO/NAOJ/NRAO)/J. Koda et al.)
【▲ アルマ望遠鏡(ALMA)が観測した棒渦巻銀河「M83(Messier 83)」(Credit: ALMA(ESO/NAOJ/NRAO)/J. Koda et al.)】

オレンジ色に輝く渦巻き模様が目を引きますが、この画像に写っているのは星々の光ではありません。ESO(ヨーロッパ南天天文台)によると、この画像で描き出されているのは、冷たいガスの分子が放つ電波です。

アルマ望遠鏡は、チリ北部のアタカマ砂漠、標高5000mの高原に建設された電波望遠鏡群です。日本の国立天文台によると、惑星の材料となるガスや塵(ダスト)はマイナス260℃程度という冷たさ。可視光線は放ちませんが、電波を放っているので、アルマ望遠鏡はその分布を捉えることができます。

夜空に輝く恒星は、低温の分子が濃く集まった冷たい雲が収縮することで誕生すると考えられています。つまりアルマ望遠鏡は、新たな星の材料が銀河のどこに分布しているのかを捉えているのです。

天の川銀河によく似た“南の回転花火銀河”

M83は、おおぐま座の「回転花火銀河」こと「M101」に似ていることから、「南の回転花火銀河」とも呼ばれています。画像の中央で最も明るく輝いているのが、M83の中心部。そこから外側へ渦を描くように伸びる明るい筋が渦巻腕(渦状腕)で、腕と腕の間は比較的暗く見えます。

ESOによると、M83は私たちの天の川銀河によく似ており、地球からはほぼ真正面を向いた姿で見えています。天の川銀河の中にいる私たちは渦巻腕がある銀河円盤を「天の川」として真横から眺めることしかできませんが、遠く離れたM83であれば、銀河円盤の全体を一度に見渡すことができます。

参考画像:ラ・シヤ天文台のMPG/ESO 2.2m望遠鏡が観測した棒渦巻銀河「M83(Messier 83)」(Credit: ESO)
【▲ 参考画像:ラ・シヤ天文台のMPG/ESO 2.2m望遠鏡が観測した棒渦巻銀河「M83(Messier 83)」(Credit: ESO)】

ガスの状態を変えるのは銀河の回転?

ストーニーブルック大学の幸田仁氏を筆頭とする研究チームは、アルマ望遠鏡の観測データをもとに、M83の円盤全体で冷たいガスの密度や温度がどう異なるのかを調べ、2025年6月に論文を発表しています。

研究チームによる分析の結果、M83の渦巻腕の間に分布するガスは、渦巻腕そのものや銀河の中心部を横切る棒状の構造に入ると、密度と温度の一方あるいは両方が高まることが示されました。こうしたガスの変化は、渦巻腕のなかで星が生まれていない部分でも見られたといいます。

研究チームは、円盤に存在する大部分のガスの状態を左右しているのは、誕生した星がまわりに及ぼす影響よりも、銀河の回転や渦巻腕などの構造である可能性が高いと指摘。同様の傾向は天の川銀河をはじめ、中心部に棒状構造を持つ棒渦巻銀河の幾つかでもみられることから、近くの宇宙に存在する棒渦巻銀河に共通の特徴である可能性が高いと研究チームは考えています。

冷たいガスの様子を正面から観測しやすいM83は、天の川銀河で星がどのように生まれてきたのかを読み解くうえでも、貴重な手がかりをもたらしてくれているのです。

冒頭の画像はESOから2026年10月5日付で公開されています。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典