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アリゾナ大学スチュワード天文台のYongda Zhu氏を筆頭とする研究チームは、約138億年前のビッグバンから数億年後の初期宇宙に存在していた銀河の周囲に、酸素や炭素などの元素を含むガスがすでに存在していたとする研究成果を発表しました。研究チームの成果をまとめた論文は学術誌「Nature Astronomy」に掲載されています。

シミュレーションをもとに描かれた、ビッグバンから数億年後の初期宇宙に存在した銀河と、その周囲に存在した重元素を含むガスの様子(Credit: Yongda Zhu)
【▲ シミュレーションをもとに描かれた、ビッグバンから数億年後の初期宇宙に存在した銀河と、その周囲に存在した重元素を含むガスの様子(Credit: Yongda Zhu)】

星々が生み出してきた重元素

ビッグバン直後の宇宙にはほぼ水素とヘリウムしか存在しておらず、重元素(水素やヘリウムよりも重い元素)は恒星内部の核融合反応や超新星爆発などを通じて合成されたと考えられています。私たちにとって身近な炭素や酸素といった元素は、輝く星々が生み出してきたものなのです。

最初期の星で合成され始めた重元素は、恒星風や超新星爆発によって周囲へ放出され、長い時間をかけて宇宙全体へ広まっていったと考えられます。アリゾナ大学によれば、初期宇宙の銀河の周囲に存在していたガスの多くは、水素とヘリウムを中心とした始原的な状態を保っていたはずだと予想されてきました。

初期の銀河を取り巻くガスにも重元素が?

今回、ジェームズ・ウェッブ(James Webb)宇宙望遠鏡の観測装置「NIRSpec(近赤外線分光器)」で観測した130億年以上前の3つの銀河のスペクトル(電磁波の波長ごとの強さの分布)を研究チームが分析したところ、中性の酸素や、低電離および高電離のケイ素と炭素に由来する吸収線(スペクトルに現れる暗い部分)が検出されました。

これらの吸収線は、銀河の星々から放たれた光の一部を、手前のガスに含まれる重元素が吸収することで生じたものです。吸収線が示す電離状態や運動の速度をもとに、研究チームはこのガスが銀河に関連したものだと考えています。

前述の通り、初期宇宙の銀河周囲に存在していたガスの多くは始原的な状態だったはずだと考えられてきました。ところが、今回の研究では重元素の吸収線が検出されており、この予想に否定的な結果が得られたことになります。

初代星探索の手がかりになるか

今回の研究成果を紹介したアリゾナ大学は、もしも重元素が早い段階で銀河から宇宙に広められていたとすれば、始原的なガスや、そのガスから誕生した最初期の世代の星々である「初代星(種族IIIの星)」は、観測できるほど長い期間は存在しなかった可能性があると述べています。初代星はまだ見つかっておらず、今回の成果はその探索における手がかりになるかもしれません。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典