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株式会社ispaceは現地時間2026年10月6日、トルコのアンタルヤで開催中の第77回国際宇宙会議(IAC)で、欧州企業との2件の覚書締結を発表しました。独ArianeGroup GmbH(アリアングループ)とは月着陸船の開発・生産で、伊Leonardo(レオナルド)および伊Telespazio(テレスパツィオ)とは月面や月周回軌道での通信・測位サービス、輸送で、それぞれ協力の拡大を検討します。

IACでの覚書締結後の記念撮影。ispaceの袴田武史CEOは右から3番目(Credit: ispace)
【▲ IACでの覚書締結後の記念撮影。ispaceの袴田武史CEOは右から3番目(Credit: ispace)】

ULTRAランダーの開発でArianeGroupと協力

ispaceは、開発中の月着陸船「ULTRA(ウルトラ)」に、ArianeGroupのパルススラスターと姿勢制御システム(RCS)用スラスターを採用しています。ArianeGroupによるULTRAの組立・統合・試験(AIT)の支援も契約済みです。今回の覚書では、ULTRA以外の宇宙機への協力拡大や、ランダーの安定的な生産に向けた長期的な商業契約を検討します。ispaceの欧州法人ispace EUROPEと米国法人ispace-U.S.も、覚書に共同署名しました。

ispaceの新ランダー「ULTRA」のCGイメージ(Credit: ispace)
【▲ ispaceの新ランダー「ULTRA」のCGイメージ(Credit: ispace)】

両社には、以前から協力関係があります。ArianeGroupは2023年に月面着陸に挑んだミッション1のランダーに推進系の部品を供給し、ドイツの施設で組立・統合・試験にも協力しました。また2021年には、ispace EUROPEとArianeGroupが、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)の月輸送・探査に関するパイロットフェーズへの参加企業として共同で選ばれています。

月の通信・測位でLeonardo、Telespazioと協力

もう1件の覚書は、ispaceとispace EUROPEがLeonardoおよびTelespazioと結んだものです。Telespazioは、Leonardoが67%、仏Thales(タレス)が33%を出資する合弁会社です。2025年にispaceとTelespazioが交わした意向表明書(LOI)を踏まえ、協力する分野を広げます。

各社は、月面や月周回軌道を対象とした通信可能範囲の拡大、測位・航法・調時(PNT)機能の拡充、データ通信容量の増強などを検討します。ESAの月通信・PNTプログラム「Moonlight(ムーンライト)」の衛星を、ispaceの軌道間輸送機(OTV)で月周回軌道へ運ぶ可能性も検討対象です。

Leonardo、Telespazioとの覚書締結セレモニーの様子(Credit: ispace)
【▲ Leonardo、Telespazioとの覚書締結セレモニーの様子(Credit: ispace)】

ULTRAを使用するミッション3では、2026年7月に三菱重工業と契約したH3ロケットによる輸送サービスを利用し、2028年内の打ち上げを見込んでいます。ただし、ミッション3は経済産業省のSBIR補助金の対象で、当初合意していた打ち上げ時期は2027年中でした。ispaceは計画の変更について、関係省庁などと調整を続けています。

月周回軌道での事業では、ispace-U.S.が2026年9月、米Argo Spaceと、自社初の月周回衛星「Alpine(アルパイン)」の輸送契約を結びました。最速で2027年に打ち上げる「ミッション2.5」の一環です。同月には、ispace EUROPEとESAが月極域の水氷を探る「MAGPIE」のフェーズ2契約の調印式も行っています。今回の覚書を通じ、ispaceは月着陸船の開発に加え、月面や月周回軌道での通信・測位インフラについても、欧州企業との協力拡大を探ります。

 

文・編集/sorae編集部

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参考文献・出典