
太陽の表面に黒点が現れる前、その兆しを捉えることはできるのでしょうか?
NASA(アメリカ航空宇宙局)は2026年8月14日、太陽の「活動領域」の出現を予測するAI(人工知能)モデルの研究成果を紹介しました。過去の観測データを用いた検証では、出現を平均約9時間前に予測する結果が得られたといいます。

活動領域とは、太陽の磁場が局所的に強く集中した領域のことです。黒点が現れることがあり、太陽フレアやコロナ質量放出(CME)の主な発生源にもなります。こうした現象は、宇宙飛行士の安全や人工衛星の運用、地球上の無線通信などに影響を及ぼすことがあります。
研究を進めたのは、NASAが支援する共同研究センター「COFFIES」に参加するニュージャージー工科大学(NJIT)、プリンストン大学、NASAエイムズ研究センターの研究者たちです。開発したモデル「EarlyDetect」には、大規模言語モデルにも使われている「Transformer」というAIの仕組みが応用されています。
予測の手がかりとなるのは、太陽内部を伝わる音波です。磁場が表面へ向かって浮上すると、太陽の振動に微妙な変化が生じます。研究チームは、太陽観測衛星「SDO(ソーラー・ダイナミクス・オブザバトリー)」の観測データから振動の強さの分布を調べ、磁場の測定値と組み合わせてAIに学習させました。
EarlyDetectは、一定期間の観測データを順次読み込みながら、12時間先までの太陽表面の明るさの変化を予測します。黒点が形成されると周囲より暗くなるため、この明るさの低下を活動領域の出現を判断する目印にしています。
平均約9時間前に予測、実用化には課題も
学習に使っていない5つの活動領域を細かな区画に分けて検証したところ、出現を予測できた時間の先行幅は平均9.24時間でした。ただし、結果にはばらつきがあり、誤検出や、出現時刻を実際より遅く見積もる例もあったといいます。また、この数字はデータ処理にかかる時間などを含めたものではなく、実際の予報で常に約9時間の余裕を確保できることを示すものではありません。
現時点ではリアルタイムの予報への実用化には至っておらず、より多くの事例での検証が必要です。また、活動領域が出現しても、必ずフレアやCMEが起きるわけではありません。今回の研究はそれらの発生を直接予測するものではありませんが、太陽活動の変化を早く把握する技術として、将来の月・火星探査を支える宇宙天気予報への貢献が期待されています。
文・編集/sorae編集部
関連記事
- ダークエネルギーカメラの運用にAIが初挑戦 大型望遠鏡の課題解決で期待される自動化
- 中国「捷龍3号」初飛行から12回連続成功 AI搭載の高分光観測衛星2機を軌道投入
- 史上初、火星探査車が「AIが計画したルート」で走行 大規模言語モデル「Claude」を活用

























