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ラマン研究所(インド)のNamrata Roy氏を筆頭とする研究チームは、銀河の中心に存在する巨大なブラックホールが噴き出すジェットが、銀河を取り巻くガスにどのような影響を及ぼしているかを調べた研究成果を発表しました。研究チームの成果をまとめた論文は学術誌「The Astrophysical Journal Letters」に掲載されています。

星形成が止まった銀河の謎

銀河の周囲には「銀河周辺物質(Circumgalactic Medium)」と呼ばれるガスが広がっています。このガスが冷えて銀河に落ち込むと、新しい星を生み出す時の材料になります。

ところが、星形成を終えた大質量の銀河では、低温の銀河周辺物質が残っていても、長期間にわたって星形成が再開しません。研究チームの論文によると、星形成が再開しない理由として、ガスが冷えすぎないように温め続ける仕組みが関わっている可能性があります。

そこで注目されているのが、様々な銀河の中心に存在するとみられる超大質量(超巨大)ブラックホール、その活動にともなって噴き出すジェット(細く絞られた高速なガスの流れ)です。ただ、ジェットのエネルギーが銀河周辺物質のガスにどうやって届くのか、詳しいことはわかっていませんでした。

ハッブル(Hubble)宇宙望遠鏡とVLA(超大型干渉電波望遠鏡群)が観測した約20億光年先の銀河「ヘルクレス座A」。ハッブル宇宙望遠鏡の画像にVLAが捉えたジェットと電波ローブ(電波で観測される塊状の構造)の画像が赤色で合成されている(Credit: NASA, ESA, S. Baum and C. O'Dea (RIT), R. Perley and W. Cotton (NRAO/AUI/NSF), and the Hubble Heritage Team (STScI/AURA))
【▲ ハッブル(Hubble)宇宙望遠鏡とVLA(超大型干渉電波望遠鏡群)が観測した約20億光年先の銀河「ヘルクレス座A」。ハッブル宇宙望遠鏡の画像にVLAが捉えたジェットと電波ローブ(電波で観測される塊状の構造)の画像が赤色で合成されている(Credit: NASA, ESA, S. Baum and C. O'Dea (RIT), R. Perley and W. Cotton (NRAO/AUI/NSF), and the Hubble Heritage Team (STScI/AURA))】

ジェットの影響はどこに及ぶのか

研究チームは、ジェットの影響が周囲のガスに均等に及ぶのか、それとも通り道に集中するのかを確かめることを試みました。手がかりは、電子をはぎ取られた水素が電子と結びつき直す際に放つ「Hα線」と呼ばれる赤い光です。ジェットの影響を受けたガスは、この光をより強く放つことが考えられるといいます。

ジェットを持つ300以上の銀河を詳しく調査した結果、Hα線がジェットに近い方向でははっきりと現れ、ジェットから離れた方向ではみられないことが明らかになりました。論文によると、ジェットに近い方向におけるHα線の明るさは、通常の銀河周辺と比べて約100倍に達します。

一方、ガスに含まれるマグネシウムの分布を調べたところ、ジェットに対する方向による明確な違いはみられませんでした。このことから研究チームは、低温のガスはもともと銀河の周囲に広く存在しており、ジェットの進路上にある一部が圧縮されたり、電子が剥ぎ取られたりすることでHα線を放っていると考えています。

光が強まる2つの場所

研究チームによると、ガスが最も強くHα線を放っていたのは、ジェットとガスが最初に出会うと考えられる銀河に近い場所でした。また、ジェットの先にある、電波を放つ物質が広がっている領域(電波ローブ)の付近でも、Hα線の発光が強まっていたといいます。

今後について論文では、ジェットがいつ、どこで、どのようにして低温の銀河周辺物質へエネルギーを注ぐのか、シミュレーションとの比較で突き止める必要があると指摘しています。大質量の銀河がどうして新たな星を生み出さなくなるのかという謎の解明に向けて、今回の成果は大きな一歩になることが期待されます。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典