
(引用元:NASA)
32年前の1994年10月12日、NASAの金星探査機「マゼラン(Magellan)」との交信が途絶え、打ち上げから約5年半にわたるミッションが終わりました。
今回紹介するのは、金星を周回するマゼランの想像図です。探査機の大きな円盤状のアンテナは、厚い雲に覆われた金星の地表をレーダーで調べるために使われました。

マゼランは日本時間1989年5月5日、スペースシャトル「アトランティス号」に搭載されて打ち上げられました。スペースシャトルから送り出された初の惑星探査機です。同日中にアトランティス号の貨物室から放出されると、上段ロケットの噴射によって金星へ向かう軌道に入りました。約15か月の航行を経て1990年8月10日に金星の周回軌道へ到着し、同年9月から本格的な地表の観測を始めました。

金星の地表は厚い雲に覆われ、可視光のカメラでは軌道上から見通せません。マゼランは電波の反射を捉える「合成開口レーダー(SAR)」で金星表面の約98%を地図化し、広大な溶岩の平原や長い流路、パンケーキ状の溶岩ドームなど、火山活動が形づくった多様な地形を明らかにしました。
その後は金星の重力場を測定し、内部構造を探るデータを収集しました。1993年には、大気の抵抗を利用して軌道を円に近づける『エアロブレーキング』を実施し、重力場をより詳しく測れるようにしています。
ミッションの終盤には、上層大気の性質や、大気から探査機が受ける力を調べるため、さらに軌道を下げました。最後の実験では2枚の太陽電池パネルを互いに反対方向へ傾け、大気の抵抗によって生じる回転力などを調べています。そして日本時間1994年10月12日19時02分、電力不足によって交信が途絶えました。その後、マゼランは金星の大気中で燃え尽きたと考えられています。
ミッション終了後も続く発見 金星の火山活動の証拠
マゼランが集めたデータは、ミッション終了から30年以上が過ぎた今も研究に使われています。2023年には、1991年2月と10月に取得されたレーダー画像を比較した研究から、マアト山付近の火口が約8か月の間に拡大し、形を変えていたことが報告されました。観測方向の違いによる見え方も検証した結果、この変化は火山活動によって生じた可能性が最も高いとされています。

さらに2024年には、別の2か所でも、1990年と1992年の観測の間に新たな溶岩流が形成されたとみられる変化が報告されました。厚い雲の下を調べたマゼランの記録は、金星で1990年代にも火山活動が起きていたことを示す証拠になっています。
編集/sorae編集部
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参考文献・出典
- NASA JPL - Magellan Orbit (Artist’s Concept)
- NASA - Magellan
- NASA JPL - Magellan Mission to Venus(NASA Facts)
- NASA NSSDCA - Magellan Mission to Venus
- NASA JPL - Magellan Status Report(1994年10月12日)
- NASA JPL - Magellan Begins Experiment to Return Data on Venus Atmosphere
- NASA JPL - NASA’s Magellan Data Reveals Volcanic Activity on Venus
- NASA JPL - Ongoing Venus Volcanic Activity Discovered With NASA’s Magellan Data






















