こちらは、ハワイのマウナケア山頂にあるジェミニ北望遠鏡が観測した超新星残骸「Pa 30」。カシオペヤ座の方向、地球から約7500光年先にあります。

超新星残骸は、超新星爆発の後に観測される天体です。
爆発で吹き飛ばされた物質と周囲のガスとの間に生じる衝撃波によって、ガスが高温に加熱されたり、電子などの粒子が加速されたりすることで、可視光線、電波、X線といった電磁波が放射されていると考えられています。
まるで花火のようにも見えるPa 30天体は、1181年に目撃された超新星の残骸である可能性が高いと考えられています。
NOIRLab(アメリカ国立光学・赤外天文学研究所)によると、「SN 1181」と呼ばれるこの超新星は、望遠鏡の発明以前に観測された天の川銀河の超新星5例のうちの1つです。中国、日本、アラブの天文学者が記録を残しており、185日間にわたって見え続けたといいます。
筋状の模様は小さな塊の連なりだった
ハーバード・スミソニアン天体物理学センター(CfA)のTimothy Cunningham氏を筆頭とする研究チームは、Pa 30の中心から放射状に広がる筋状の模様を調べた結果、従来考えられていた滑らかな線ではなく、小さなガスの塊が鎖のように連なったものであることが明らかになったとする研究成果を発表しました。
論文の共著者であるオーストリア科学技術研究所(ISTA)のIlaria Caiazzo氏によれば、塊の大きさは驚くほどそろっているように見えており、1つの塊だけでも太陽系の惑星が存在する領域が約10個分、余裕をもって収まる大きさがあるといいます。
研究チームによると、こうした構造は、超新星爆発にともなって物質が広がる際、爆発した星の周囲にあった物質の温度や密度のむらによって形作られた可能性があります。研究チームの成果をまとめた論文は学術誌「The Astrophysical Journal」に掲載されています。
中央にとどまる“生き残り”の星
画像のほぼ中央に写る青白い星は、Pa 30を生み出すもとになった超新星爆発の後に残されたとみられる中心星です。
これまでの研究から、この超新星はめずらしい「Iax型超新星」だったと考えられてきました。NOIRLabによれば、Pa 30は今のところ天の川銀河で知られている唯一のIax型の残骸です。
白色矮星を含む連星で起こる標準的な「Ia型超新星」では、その高いエネルギーによって白色矮星は吹き飛ぶと考えられています。一方、Iax型超新星は爆発のエネルギーが低く、星が生き残ると考えられています。
NOIRLabによると、生き残った星は爆発の勢いで弾き飛ばされると予想されますが、Pa 30の中心星は残骸のほぼ真ん中にありました。研究チームはこの配置をもとに、Pa 30を残したのはかなり対称的な爆発であり、Iax型超新星だったと結論づけています。
歴史書に記された超新星の名残は、めずらしいIax型超新星がどのような星から起きるのかを探る手がかりになりそうです。
冒頭の画像はNOIRLabから2026年10月6日付で公開されています。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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参考文献・出典
- NOIRLab - Gemini North Reveals Pearl-Like Knots in the Remnant of a Supernova Witnessed in the Year 1181
- Cunningham et al. - Detection of Knots in the Type Iax Supernova Remnant Pa 30 (The Astrophysical Journal)
























