ESA(ヨーロッパ宇宙機関)は2026年10月6日付で、2030年の火星着陸を目指す探査車「ロザリンド・フランクリン(Rosalind Franklin)」の運用チームが、本番の探査活動に備えたリハーサルをスペインの砂漠で実施したと発表しました。

生命の痕跡を探す最新の火星探査車
ロザリンド・フランクリンは、ESAが主導する火星探査計画「エクソマーズ(ExoMars)」の一環として開発された火星探査車で、過去または現在の火星における生命の痕跡を探すことを主な目的としています。
最大の特徴は、火星の地表から最大2mの深さまで掘削できるドリルを搭載しているところ。このドリルを使うことで、有害な放射線や極端な温度変化による破壊を免れていると考えられる、地下のサンプルを採取・分析することが可能になります。

遠く離れた管制センターから砂漠の探査車を操る
リハーサルの舞台となったのは、スペイン南東部のタベルナス砂漠です。使用されたのはロザリンド・フランクリンのプロトタイプ「チャーリー(Charlie)」で、現地から約1200km離れたイタリア・トリノの管制センターにいる科学チームの指示のもと、2026年9月に8日間で220mを走行しました。
チャーリーには、障害物を避けながら目標地点へ向かうためにロザリンド・フランクリンが使用するものと同じ、誘導・航法・制御のソフトウェアを搭載。チャーリーから送られてきた画像をはじめ、地下を探査するレーダーのデータ、光を波長ごとに分けて調べるスペクトル分析の結果をもとに、科学チームは生命の痕跡を探すのに最も有望そうな場所を絞り込んでいきました。
ロザリンド・フランクリンの運用リーダーを務めるESAのLuc Joudrier氏は、「チャーリーは見事に動いてくれました。単独で探査させることもあり、6日目には操縦する人がいない状態で60m以上を走行し、航法の誤差は1%未満でした」と述べています。


本番に備えたリハーサルはまだまだ続く
次回のフィールドテストは2027年夏に予定されており、火星を周回するESAの探査機「トレース・ガス・オービター(TGO)」が関わる課題も加わるといいます。TGOは火星表面のロザリンド・フランクリンと地球の間で通信を中継する役割を担います。
ESAの惑星科学者Elliot Sefton-Nash氏は、「今回のフィールドテストは大成功でした。次回に向けた改善や、ミッションさながらの環境での計画の更新に役立つことを、たくさん学びました。ロザリンド・フランクリンが2030年に火星へ着陸したとき、チームには探査車の運用を自転車に乗るのと同じくらい慣れたものに感じてほしいのです」と述べています。
ESAによると、火星に着陸したロザリンド・フランクリンから送られたデータをもとに翌日の行動を準備する作業が、本番のミッションでは昼夜を問わず続けられることになります。今回のリハーサルでも本番同様の24時間体制で作業が行われました。
火星で生命は誕生したのか。その謎にどこまで迫れるのかは、探査車の性能だけでなく、地球から探査車を操る運用チームの手腕にもかかっています。チャーリーによる砂漠でのリハーサルは、2030年に始まる予定のロザリンド・フランクリンの火星探査に向けた欠かせない取り組みと言えそうです。

【▲ 今回のリハーサルを紹介した動画(Credit: ESA/Airbus)】
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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