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JAXAが「イプシロンS」開発計画見直しへ 2段目を変更し2026年度内の実証機打ち上げ目指す

JAXA(宇宙航空研究開発機構)は2026年2月4日に開催された第102回宇宙開発利用部会にて、開発中の「イプシロンS」ロケットに関する最新の状況を報告しました。

イプシロンSロケットとは

イプシロンSロケットのイメージ図(Credit: JAXA)
【▲ イプシロンSロケットのイメージ図(Credit: JAXA)】

イプシロンSロケットは、前身となる「イプシロン」ロケットを発展させる形で開発が進められている3段式の固体燃料ロケットです。

2段目をイプシロンの「M-35」からさらに強化した「E-21」に変更しつつ、1段目を「H3」ロケットの固体燃料ロケットブースター(SRB-3)と共通化。JAXAによると、1段目の共通化による相乗効果や、衛星受領から打ち上げまでの期間をイプシロンの3分の1程度となる10日以内に短縮するなどの改良を行うことで国際競争力を高め、小型衛星打上げ市場で競争可能な価格帯を実現するとともに、1年に2回の打ち上げ機会提供を目指すとされています。

2段目の地上燃焼試験で相次いで爆発が発生

イプシロンSロケット第2段モータ再地上燃焼試験で爆発が発生した時の様子。 2024年11月26日に種子島宇宙センター竹崎局で撮影(Credit: JAXA)
【▲ イプシロンSロケット第2段モータ再地上燃焼試験で爆発が発生した時の様子。 2024年11月26日に種子島宇宙センター竹崎局で撮影(Credit: JAXA)】

イプシロンSの開発完了に向けて、JAXAは2023年7月14日に秋田県の能代ロケット実験場で第2段モータ地上燃焼試験を実施したものの、点火57秒後に爆発が発生。2024年11月26日には種子島宇宙センター竹崎地上燃焼試験場で原因調査と対策を講じた第2段モータの再地上燃焼試験が行われましたが、点火約49秒後に再び爆発が発生しました。

FTA(故障の木解析)を展開して要因の絞り込みを進めたJAXAは、2段目のモータケース側インシュレーション(断熱材)の焼損過大による気密喪失が爆発につながった可能性が高いと推定。現在は実機の約5分の1サイズの小型モータを作成し、燃焼試験を通じてデータの取得を進めています。

これまでの原因究明状況については以下の関連記事もご参照ください。

イプシロンSの開発計画見直しへ

日本の基幹ロケットは大型のH3ロケットと小型のイプシロンSロケットがその役割を担うはずでしたが、第2段モータ地上燃焼試験の原因究明がまだ途上のイプシロンSは、実証機打ち上げの目処が立っていません。

また、H3ロケットは2025年12月22日に8号機の打ち上げが失敗しており、9号機の打ち上げは延期することがすでに発表されています。現在の日本では、大小の基幹ロケットがどちらも運用できない状況となっています。

JAXAが「H3」ロケット9号機の打ち上げ延期を発表 「みちびき」7号機を搭載(2026年1月7日)

H3ロケット8号機の2段目は「みちびき」5号機を喪失したまま飛行か JAXAが原因究明状況を報告(2026年1月20日)

2025年10月には、革新的衛星技術実証4号機としてイプシロンSで打ち上げられる予定だった9機の衛星について、2025年度内の打ち上げを堅守するためにアメリカ企業Rocket Lab(ロケットラボ)の「Electron(エレクトロン)」ロケットで打ち上げることをJAXAが発表。2025年12月14日には、そのうちの1機「小型実証衛星4号機(RAISE-4)」が打ち上げられました。

こうした状況の下、JAXAは4日の宇宙開発利用部会にて、早期の打ち上げ実施と小型衛星の打ち上げ需要に着実に対応するための措置として、イプシロンSロケットの開発計画を見直すことを明らかにしました。

具体的には、イプシロンSの2段目を新型のE-21から、強化型イプシロンのM-35に準じた「M-35a」に変更した上で、2026年度内の実証機打ち上げを目指します。M-35aを使用する機体の名称は「イプシロンSロケットBlock1」となります。

強化型イプシロン(基本形態・オプション形態)とイプシロンS(開発移行時・E-21適用形態・M-35a適用形態)の性能表。第102回宇宙開発利用部会のJAXA配布資料から引用(Credit: JAXA)
【▲ 強化型イプシロン(基本形態・オプション形態)とイプシロンS(開発移行時・E-21適用形態・M-35a適用形態)の性能表。第102回宇宙開発利用部会のJAXA配布資料から引用(Credit: JAXA)】

当初の目標と比べて打ち上げ能力が低下するものの、イプシロンSロケットでの打ち上げを受託しているベトナムの地球観測衛星「LOTUSat-1」は衛星側の推進システムで最終的な軌道に投入できる点など、イプシロンSロケットBlock1でも対応可能であることを確認したとしています。

また、性能に影響はしないものの、M-35aはM-35に対して、推進薬やインシュレーション原材料の枯渇対応などが反映されます。E-21の爆発原因と同じ要因が関わっていないことを確認するために、M-35aの地上燃焼試験が竹崎地上燃焼試験場で行われる予定です。

なお、イプシロンSロケットBlock1以降の計画についてはE-21の爆発原因調査の状況などを踏まえつつ、段階的に開発を進める方向で引き続き検討を行うということです。まずは来年度中を目指すBlock1の打ち上げ成否が注目されます。

 

文・編集/sorae編集部

参考文献・出典