Intuitive Machines、「IM-2」の着陸地点を最終決定 日本の月探査ローバーも搭載
【▲ Intuitive Machinesの無人月着陸船「Nova-C」による2回目の月着陸ミッション「IM-2」の想像図(Credit: Intuitive Machines)】

アメリカの民間宇宙企業Intuitive Machines(インテュイティブ・マシーンズ)は2024年7月18日付で、同社の無人月着陸船「Nova-C(ノバC、ノヴァC)」による2回目のミッション「Intuitive Machines 2(IM-2)」の着陸地点を最終決定したと発表しました。同社によると、IM-2の着陸地点は月の南極にある「シャクルトン・クレーター」(Shackleton)付近の直径200mの地点となりました。同社によると、着陸地点の太陽光発電条件に合わせて、IM-2は2024年11月から2025年1月の間に実施される必要があるということです。

【▲ Intuitive Machinesの無人月着陸船「Nova-C」による2回目の月着陸ミッション「IM-2」の想像図(Credit: Intuitive Machines)】
【▲ Intuitive Machinesの無人月着陸船「Nova-C」による2回目の月着陸ミッション「IM-2」の想像図(Credit: Intuitive Machines)】

IM-2ではNASA(アメリカ航空宇宙局)が開発したドリルと質量分析計が搭載されます。このミッションは「PRIME-1(Polar Resources Ice Mining Experiment-1)」として知られ、長さ1mのドリルを使用することで月面のサンプル採取と分析を実施します。月の南極には水の氷(water ice)が存在すると考えられており、その存在を確かめる狙いがあります。水の氷は将来的な有人月面探査で宇宙飛行士の飲用水として用いたり、電気分解をして得られた水素と酸素をロケットや宇宙船の推進剤としても利用できると構想されています。

また、IM-2ではペイロードの1つとして、日本の民間企業ダイモンが開発した月探査ローバー「YAOKI(ヤオキ)」も搭載されます。YAOKIの大きさは15cm×15cm×10cmで、重量は498gと超小型です。YAOKI初のミッションは「Project YAOKI 1(PY-1)」と呼ばれ、月面着陸後は地球からのリモート操作による月面走行と搭載されているカメラによる画像データの取得を行います。なお、ダイモンによるとYAOKIのフライトモデルは完成しており、2024年4月30日付でYAOKIとNova-Cの統合テストに成功したと発表しました。

【▲ 統合テストを行う月探査ローバー「YAOKI」(Credit: ダイモン)】
【▲ 統合テストを行う月探査ローバー「YAOKI」(Credit: ダイモン)】

Intuitive Machinesは2024年2月に1回目の月着陸ミッション「IM-1」に成功しており、月着陸を行なった経験があります。IM-1では「Odysseus(オデュッセウス)」と名付けられたNova-Cが日本時間2024年2月23日に月の南極近くにあるマラパートA・クレーターへの軟着陸を実施しました。さらに同社は月着陸ミッションだけでなく、NASAが推進する月面探査計画「アルテミス」で使用される有人月面探査車「Lunar Terrain Vehicle(LTV)」の開発企業の1社として選定されています。NASAは2024年4月3日付で、Intuitive MachinesとLunar Outpost(ルナー・アウトポスト)、Venturi Astrolab(ベンチュリ・アストロラボ)の3社を選定し、契約を締結しました。

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Source

  • Intuitive Machines - Intuitive Machines Finalizes Landing Site for Sold-Out IM-2 Lunar Prospecting Mission
  • 株式会社ダイモン - 月面探査車YAOKI、Intuitive Machines社の月着陸船Nova-Cと統合テストに成功
  • YAOKI - YAOKIとは

文/出口隼詩 編集/sorae編集部