【SAPOD】今日の「宇宙画像」です。soraeが過去に紹介した特徴的な画像や、各国の宇宙機関が公開した魅力的な画像、宇宙天文ファンや専門家からお寄せいただいた画像を紹介しています。(文末に元記事へのリンクがあります)

(引用元:sorae 宇宙へのポータルサイト)

こちらは、アメリカ航空宇宙局(NASA)の惑星探査機「ボイジャー2号」が撮影した海王星です。ボイジャー2号は1977年8月に打ち上げられ、翌月に打ち上げられた姉妹機「ボイジャー1号」が先に木星と土星へ到達したのに続き、木星(1979年7月)と土星(1981年8月)のフライバイ探査を実施。1986年1月には人類史上初にして唯一の天王星フライバイを行い、海王星には1989年8月25日に最接近しました。この日から今日(2025年8月25日)で36年となります。

 

冒頭の画像は、最接近の約5日前にボイジャー2号が撮影した海王星の全体像で、中央付近の暗い楕円状の模様が「大暗斑(Great Dark Spot)」です。ハッブル宇宙望遠鏡の観測により、この1989年の大暗斑(南半球)は1994年までに消滅していたことが確認され、その後は北半球などで“別の暗斑”が新たに出現するなど、海王星の大気が大きく変化し続けていることが分かっています。2023年にはヨーロッパ南天天文台(ESO)の超大型望遠鏡(VLT)で、地上望遠鏡としては初めて“暗斑”の直接検出も報告されました。

海王星は"太陽から地球の約30倍"も離れているため、届く太陽光は地球の約900分の1と非常に弱く、良質な画像を撮影するには長い露光が必要でした。一方でボイジャー2号は地球に対して最大時速約9万kmという高速で通過するため、長露光のままでは像が流れてしまいます。そこで最接近時には、スラスターを微噴射して機体をわずかに回転させ、カメラの視線を目標に追従させることでブレを打ち消す「画像の動き補償(image motion compensation)」を用いて撮影されました。

 

文/sorae編集部

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