
こちらは、ハッブル宇宙望遠鏡が観測した渦巻銀河「IC 2051」のクローズアップ。テーブルさん座の方向、地球から約8500万光年先にあります。

青白く輝く若い星々を含む渦巻腕(渦状腕)が、中心の明るい領域を取り囲むように美しく巻き付いている様子は、夜空に浮かぶ雄大な風車のような印象的な姿です。
銀河の中心で輝く「バルジ」の役割
渦巻銀河の中心にある、明るく丸く膨らんだ領域は「銀河バルジ」と呼ばれています。渦巻銀河を真横から見ると、薄く平らな円盤の中央部分が上下にふくらんでおり、全体としては"空飛ぶ円盤"を思わせる形をしています。
バルジは単に星の密集地帯というだけでなく、銀河そのものの進化において極めて重要な役割を果たしていると考えられています。また、ほとんどの渦巻銀河の中心には超大質量ブラックホール(超巨大ブラックホール)が潜んでいると考えられていますが、バルジの成長とブラックホールの成長は密接に影響し合っていると推測されています。
単純ではない? 複合的なバルジの素顔
冒頭の画像を作成するのに使われたデータは、まさにこの銀河バルジの形態を詳細に調査する研究の一環として取得されました。
ESA(ヨーロッパ宇宙機関)によれば、かつて銀河バルジは単純な球状の星の集まりだと思われていました。しかし近年の研究によって、その多くは球状、円盤状、あるいは箱型といった、多様な形状の構成要素が入り混じった複合構造である可能性が示唆されています。宇宙に存在するバルジの形態は、私たちが想像する以上に多種多様なのかもしれません。
2026年1月に発表された研究成果では、IC 2051の中心領域にて、銀河の進化の鍵を握る「ガスの流入」と、それにともなって発生する「衝撃波」の明確な兆候がとらえられています。渦巻腕がある銀河円盤から銀河バルジへとガスが流れ込み、そこで新たな星が生まれることでバルジが複雑に成長していく様子が、最新の技術によって徐々に解き明かされつつあるのです。IC 2051は、無数に存在する銀河がどのように形作られ、変化してきたのかを知るための貴重な手がかりとなっています。
冒頭の画像はESA/Hubbleから2019年12月16日付で公開されました。
本記事は2019年12月18日公開の記事を再構成したものです。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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