インド宇宙研究機関(ISRO)は30日、フランスの地球観測衛星SPOT-7と、4機の小型衛星を搭載したPSLVロケット(PSLV-C23)の打ち上げに成功した。PSLVはこれで27機中25機の打ち上げ成功で、また連続成功回数は23機となり、ISROが今夏に予定している新世代のGSLV Mk IIIロケットの初打ち上げに向けて、大きな弾みをつけた。

SPOT-7を搭載したPSLV-C23は、インド標準時2014年6月30日9時52分(日本時間2014年6月30日13時22分)、インド南部にあるサティシュ・ダワン宇宙センターの第1発射台(FLP)から離昇した。ロケットは順調に飛行し、打ち上げから約20分後にSPOT-7を所定の軌道に投入した。また続いて4機の小型衛星も次々と分離され、打ち上げは完璧な成功に終わった。

SPOT-7は、フランスの航空宇宙大手であるエアバス・ディフェンス&スペース社によって開発された地球観測衛星で、フランスのスポット・イマージュ社によって運用される。2012年9月に、やはりPSLVで打ち上げられたSPOT 6の同型機で、光学センサーを搭載し、地表を観測する。分解能は低いが、広範囲を一度に撮影することができ、狭い範囲しか一度に撮影できないものの、分解能の高い写真を得られるプレアデス1Aと1Bと共同で、お互いを補完する形で運用される。

打ち上げ時の質量は714kgで、高度655km、軌道傾斜角98.23度の太陽同機軌道から地球を観測する。分解能はパンクロマチック(白黒写真)で2.2m、マルチスペクトル(カラー写真)で8.8mの性能を持つ。設計寿命は10年が予定されている。

また今回、ロケットの余剰能力を利用し、AISAT、NLS7.1、NLS7.2、VELOX-1の、4機の小型衛星が搭載されていた。

AISATはドイツ航空宇宙センター(DLR)が開発した衛星で、海上を航行する船から発せられる自動船舶識別装置(AIS)の信号から、船の混雑具合を全地球規模で観測する。打ち上げ時の質量は14kg。

NLS7.1とNLS7.2の2機はトロント大学航空宇宙学研究所が開発した衛星で、ディファレンシャルGPSや、超小型スラスターなどを駆使し、軌道上での精密な編隊飛行を行う技術を実証する。打ち上げ時の質量は1機あたり15kg。

VELOS-1はシンガポールの南洋理工大学が開発した衛星で、カメラや科学実験機器を搭載。またVELOX-1-PSATと名付けられた子衛星を分離し、衛星間通信の実験も行われる。打ち上げ時の質量は7kg。

PSLVはISROが運用するロケットで、PSLVとはPolar Satellite Launch Vehicleの頭文字から取られている。その名前からも分かる通り、極軌道への打ち上げに特化したロケットだ。今回で27機目の打ち上げとなり、実運用に入ってからは24機目の打ち上げとなった。試験機と実運用機のそれぞれ1号機以外は失敗はなく、安定した打ち上げを続けている。

ISROではもう一つ、静止衛星の打ち上げに特化したGSLV (Geosynchronous Satellite Launch Vehicle)というロケットを運用している。こちらは全8機の打ち上げ中、成功したのは3機という数字だが、現在新型のGSLV Mk IIIロケットの開発が進められている。Mk IIIとは言っても、現行のGSLVとはまったく異なる、完全に新規設計されたロケットで、打ち上げ能力が大きく向上し、また有人宇宙船の搭載もできるなど、世界第一級の大型ロケットと肩を並べられるほどの能力を持つ。初打ち上げは今年の7月下旬から8月ごろに予定されている。

 

■Welcome To Indian Space Research Organisation - Mission
http://www.isro.gov.in/pslv-c23/mission.aspx