
こちらは、NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星探査車「Perseverance(パーシビアランス)」が撮影した最新のセルフィー(自撮り)です。背後に広がる荒涼とした火星の風景は、Perseveranceの着陸地点となったジェゼロ・クレーターの縁(外輪山)を越え、西に大きく進んだ先に広がっていた大地です。

61枚の画像を合成した“最西端”のセルフィー
Perseveranceを運用するNASAのJPL(ジェット推進研究所)によると、このセルフィーは火星での探査開始から1797ソル(※)となる2026年3月11日に、ロボットアームの先端に搭載されたカメラ「WATSON(Wide Angle Topographic Sensor for Operations and eNgineering)」を使って撮影されました。ロボットアームを約1時間かけて精密に動かしながら取得した61枚の画像を、地球で受信してから繋ぎ合わせることで作成されています。
※…1ソル(Sol)=火星での1太陽日、約24時間40分。
Perseveranceの隣に写っているのは「Arathusa(アラトゥーサ)」と名付けられた岩の露頭です。次に掲載する別のバージョンのセルフィーでは、Perseveranceはマスト(カメラや観測機器を搭載した“頭部”と表現される部分)をこの岩に向けています。

岩の表面には、内部の組成を調べるために削った際の、白っぽい円形の研磨跡が確認できます。また、背景でなだらかに広がっている山並みは、ジェゼロ・クレーターの西側の縁です。
Perseveranceのプロジェクトサイエンティストを務めるJPLのKatie Stack Morgan氏によると、2021年2月にジェゼロ・クレーターへ着陸して以来、今回のセルフィーが撮影されたのはPerseveranceが最も西へ進んだエリアとなります。
総走行距離はフルマラソンに迫る
現在、Perseveranceは科学チームから「Lac de Charmes(ラック・ド・シャルム)」と呼ばれている古い地形が広がるエリアで、5番目の科学キャンペーンを実施しています。
JPLによると、今回のセルフィーに写るArathusaを研磨・分析した結果、この岩は火成岩であることが判明しており、天体衝突によってジェゼロ・クレーターが形成されるよりも前の時代に作られた可能性が高いといいます。火星の地下深くに由来する可能性がある、このような古い岩石を調べることで、過去の火星の環境をめぐる謎の解明につながることが期待されています。
なお、Perseveranceのこれまでの総走行距離は、フルマラソンの距離(42.195km)に迫る約42kmに達したということです。今回のセルフィーは、Perseveranceの力強い歩みを象徴する一枚となりました。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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