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JAXAが「イプシロンS」ロケット新2段目の地上燃焼試験を7月23日にも実施へ

JAXA(宇宙航空研究開発機構)は2026年7月14日に記者説明会を開催し、開発中の「イプシロンS」ロケットに関する最新の状況を報告しました。日本の基幹ロケットとして早期の打ち上げを実現するべく導入した新しい第2段モータ「M-35a」の地上燃焼試験を、早ければ2026年7月23日にも種子島宇宙センターの竹崎地上燃焼試験場で実施する予定だということです。

イプシロンSロケットとは

イプシロンSロケットのイメージ図(Credit: JAXA)
【▲ イプシロンSロケットのイメージ図(Credit: JAXA)】

イプシロンSロケットは、前身となる「イプシロン」ロケットを発展させる形で開発が進められている3段式の固体燃料ロケットです。2段目を強化型イプシロンの「M-35」からさらに強化した「E-21」に変更しつつ、1段目を「H3」ロケットの固体燃料ロケットブースター(SRB-3)と共通化しています。

JAXAによると、1段目の共通化による相乗効果や、衛星受領から打ち上げまでの期間をイプシロンの3分の1程度となる10日以内に短縮するなどの改良を行うことで国際競争力を高め、小型衛星打上げ市場で競争可能な価格帯を実現するとともに、1年に2回の打ち上げ機会提供を目指すとされています。

2段目の地上燃焼試験で相次いで爆発が発生

イプシロンSロケット第2段モータ再地上燃焼試験で爆発が発生した時の様子。 2024年11月26日に種子島宇宙センター竹崎局で撮影(Credit: JAXA)
【▲ イプシロンSロケット第2段モータ再地上燃焼試験で爆発が発生した時の様子。 2024年11月26日に種子島宇宙センター竹崎局で撮影(Credit: JAXA)】

イプシロンSの開発完了に向けて、JAXAは2023年7月14日に秋田県の能代ロケット実験場で第2段モータ地上燃焼試験を実施したものの、点火57秒後に爆発が発生。2024年11月26日には竹崎地上燃焼試験場で原因調査と対策を講じた第2段モータの再地上燃焼試験が行われましたが、点火約49秒後に再び爆発が発生しました。

これまでの原因究明状況については以下の関連記事もご参照ください。

FTA(故障の木解析)を展開して要因の絞り込みを進めたJAXAは、実機の約5分の1サイズの小型モータによる燃焼試験を2026年7月14日までに6回実施しており、2段目の推進薬側インシュレーション(断熱材)の手前側の損傷による影響で、奥側にも破孔が生じた可能性が高いと推定するなど、爆発に至ったメカニズムの解明を進めています。

新しい第2段モータ「M-35a」の燃焼試験を実施へ

7月14日の記者説明会では、イプシロンロケットのプロジェクトマネージャーを務める井元隆行さんが登壇し、第2段モータ「M-35a」の地上燃焼試験についての説明が行われました。

M-35aは、2026年2月の第102回宇宙開発利用部会で報告されたイプシロンSロケットの開発計画見直しにともなって導入された新しい第2段モータです。M-35aを使用する機体の名称は「イプシロンSロケットBlock1」となります。

設計は強化型イプシロンのM-35に準じており、推進薬やインシュレーションといった製造に必要な原材料の枯渇に対応しています。井元さんによると、太陽同期軌道への打ち上げ能力はE-21を使用する機体の600kgに対して、M-35aでは400kg以上(詳細は今後検討)とされています。

強化型イプシロン(基本形態・オプション形態)とイプシロンS(開発移行時・E-21適用形態・M-35a適用形態)の性能表。JAXAの記者説明会配布資料から引用(Credit: JAXA)
【▲ 強化型イプシロン(基本形態・オプション形態)とイプシロンS(開発移行時・E-21適用形態・M-35a適用形態)の性能表。JAXAの記者説明会配布資料から引用(Credit: JAXA)】

当初のイプシロンSとしての目標と比べて打ち上げ能力は低下するものの、イプシロンSロケットでの打ち上げを受託しているベトナムの地球観測衛星「LOTUSat-1」は衛星側の推進システムで最終的な軌道に投入できる点など、イプシロンSロケットBlock1でも打ち上げに対応可能であることを確認したことが、第102回宇宙開発利用部会では説明されていました。

前述の通り、M-35aの設計はM-35に準じていますが、E-21の爆発原因と同じ要因が関わっていないことを確認するために、地上燃焼試験が実施されることになりました。燃焼試験は冒頭でも言及した通り2026年7月23日の実施が予定されています(予備日は2026年7月24日~2026年7月29日)。

大気圧での燃焼用に短いノズルを取り付けた供試体を使用し、計画では約130秒間にわたって燃焼が実施されます。計測項目は推力や燃焼圧力など約250点で、E-21の爆発原因調査を踏まえて温度や歪の計測を追加したため、E-21の燃焼試験における約240点から増加。試験後はデータの評価はもとより、供試体の分解・切断検査を行うことで、徹底的な評価を行うということです。

なお、JAXAはM-35aを使用するイプシロンSロケットBlock1について、2026年度内の打ち上げを目指しています。日本のもうひとつの基幹ロケットであり、先日6号機の打ち上げに成功した「H3」ロケットに続くイプシロンSの打ち上げに向けて、まずはM-35aの地上燃焼試験結果に注目です。

 

文・編集/sorae編集部

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参考文献・出典