
アメリカ企業Blue Origin(ブルーオリジン)は2026年1月30日付で、同社の再使用型ロケット「New Shepard(ニューシェパード)」の飛行を、少なくとも2年間停止すると発表しました。
Blue Originによれば、今回の決定は、同社のリソースを有人月面活動能力(human lunar capabilities)の開発加速へとシフトさせるためのものです。同社は今回の方針転換について、アメリカの目標である月への帰還、および恒久的な月面拠点の確立に対する同社のコミットメントを反映したものだと述べています。
Blue Moonの開発体制を強化か

Blue Originの有人月面活動能力の中核を担うのは、同社が開発を進めている月着陸船「Blue Moon(ブルームーン)」です。同社は2023年5月、NASA(アメリカ航空宇宙局)が主導する有人月面探査計画「Artemis(アルテミス)」において、SpaceX(スペースX)に続く第2のHLS(有人月面着陸システム)開発事業者に選定されています。
Blue OriginはNASAとの契約にもとづき、Artemis計画で3回目の有人月面探査を行う予定のミッション「Artemis V(アルテミスV)」の月着陸船を担当します。このミッションでは、月周回有人拠点「Gateway(ゲートウェイ)」から宇宙飛行士を乗せ、月の南極域へ着陸させることが計画されています。
現在、Blue Moonは貨物輸送用の「Mark 1(MK1)」と、有人着陸用の「Mark 2(MK2)」の2つのバリエーションの開発が進行中です。今回のプレスリリースでは具体的に言及されていませんが、New Shepardの運用停止によって生み出された人的・資金的リソースは、主にBlue Moonの開発体制の強化に充てられるとみられます。
New Shepardはこれまでに38回飛行

New Shepardは、ブースターの垂直着陸を行う再使用型宇宙飛行システムとして運用されてきました。直近では2026年1月22日に38回目の飛行を成功させ、2026年最初のミッションを完了したばかりです。
Blue Originによれば、New Shepardはこれまでに98人のクルーをカーマン・ライン(※)より上の宇宙空間へと運んでいます。また、同機は科学実験のプラットフォームとしても活用されており、これまでに学生、学術機関、研究機関、そしてNASAなどから委託された200以上の科学・研究ペイロード(搭載物)を打ち上げてきたとしています。
※…FAI(国際航空連盟)によって定められた、高度100kmにある地球の大気圏と宇宙空間の境界のこと。
Blue Originは、New Shepardの一貫した信頼性の高いパフォーマンスと顧客体験の結果として現在も数年分の受注残を抱えているとしていますが、今回の決定により、有人飛行を含む同機の運用は当面休止されることになります。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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