【▲ NASAの探査機「ニュー・ホライズンズ」を描いた想像図(Credit: NASA/JHUAPL/SwRI)】

2015年7月に準惑星「冥王星」2019年1月に太陽系外縁天体「アロコス」(当時は「ウルティマ・トゥーレ」と呼ばれていました)を接近観測したアメリカ航空宇宙局(NASA)の探査機「ニュー・ホライズンズ」。現在ニュー・ホライズンズは太陽系の外に向かって飛行を続けつつ、地球から遠く離れていることを活かした観測を行っています。

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NASAによると、ニュー・ホライズンズは日本時間2021年4月18日21時42分太陽から50天文単位(約75億km)離れたところを通過します。これは光の速さで移動しても約7時間かかる距離に相当します。ちなみに1天文単位は地球から太陽までの平均距離に由来するので、現在ニュー・ホライズンズはその50倍も遠いところにいることになります。

今までに太陽から50天文単位離れた場所を通過した探査機は、1970年代に打ち上げられたNASAの惑星探査機「パイオニア10号」「パイオニア11号」「ボイジャー1号」「ボイジャー2号」の4機のみでした。ニュー・ホライズンズは太陽から50天文単位のラインを史上5番目に越える探査機となります。

【▲ 2020年12月25日にニュー・ホライズンズが撮影した画像。中央の黄色い円はボイジャー1号の方向を示している(Credit: NASA/Johns Hopkins APL/Southwest Research Institute)】

現地時間4月16日、NASAはニュー・ホライズンズの50天文単位到達を予告するとともに、こちらの1枚の画像を公開しました。これはニュー・ホライズンズが2020年のクリスマスに撮影したもので、くっきりとした星々や淡く写る銀河に囲まれた中央部分の黄色い円で示された方向には、太陽から152天文単位(約229億km、撮影時点)離れたところを飛行するボイジャー1号があるといいます。

このときニュー・ホライズンズはボイジャー1号から約180億km離れていたため、さすがにその姿を捉えることはできませんでしたが、エッジワース・カイパーベルトを飛行する探査機が遥か星間空間を飛行する探査機の方向を撮影したのはこれまでになかったこととされており、ニュー・ホライズンズが地球から遠く離れた貴重な視点を得ていることを物語る画像となっています。

現在ニュー・ホライズンズの状態は健全で、太陽風やエッジワース・カイパーベルトの環境などに関するデータを集め続けており、今年の夏には観測能力を高めるためのソフトウェアのアップグレードも予定されています。また、運用チームでは国立天文台ハワイ観測所の「すばる望遠鏡」などを利用して、今後の探査対象になり得るエッジワース・カイパーベルト天体の捜索を行っているとのことです。

 

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Image Credit: NASA/JHUAPL/SwRI
Source: NASA
文/松村武宏

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