
(引用元:ESA/Hubble)
おとめ座の方向約1億光年先に位置する楕円銀河「NGC 4261」。この画像は1995年12月に公開されたもので、ハッブル宇宙望遠鏡による超大質量ブラックホール周辺の観測成果として知られています。
明るく輝く銀河核の中央に浮かび上がるのは、幅約800光年の巨大なダスト(塵)の円盤。星形成をほぼ終えた楕円銀河の中心にこれほど明確な構造が存在することは、当時の研究者の大きな注目を集めました。

1995年当時の観測と謎
当時の観測データは、天文学者に大きく2つの謎を投げかけました。ひとつは、このダスト円盤が過去に衝突・合体した小さな銀河の残骸ではないかという推測。もうひとつは、ブラックホールの位置が銀河の見かけの中心から約20光年ほどずれて見えた点です。
この「ずれ」をめぐっては、ブラックホールが銀河中心からわずかに外れている可能性も含め、さまざまな解釈が議論されました。
最新観測が解き明かした「ずれ」の正体
しかし、1995年の発見以降、ALMAなどを用いた高解像度観測が進むと、当時の謎に新たな光が当たります。
近年の研究では、ブラックホール自体が大きく移動していたわけではないことが示されています。円盤を構成する厚いダストが光を非対称に遮ったため、見かけ上の中心がずれて見えていた可能性が高いのです。さらに、円盤内の分子ガスの動きを精密に調べた観測からは、ガスがブラックホールの重力に従って規則的に回転していることが示されており、ブラックホールは銀河中心に位置しているとみられています。
さらに近年の解析では、中心に潜むブラックホールの質量は太陽の約16億倍と推定されており、1990年代の初期推定よりも大きな値が示されています。
こうした最新の知見を踏まえると、1995年にハッブル宇宙望遠鏡が捉えたダスト円盤は、ブラックホールそのものに落ち込む現場を直接写したものではないものの、その周囲に存在する大規模な物質供給構造を可視化した重要な観測成果だったと言えます。現在では、この円盤が活動銀河核を支えるガス供給源のひとつであり、銀河スケールで伸びる電波ジェットの活動とも関係していると考えられています。
編集/sorae編集部
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参考文献・出典
- NASA - NASA Science "Hubble Finds a New Black Hole — and Unexpected New Mysteries"
- Ferrarese et al. 1996, ApJ, 470, 444
- Boizelle et al. (2021) - ALMA Observations of the NGC 4261 Circumnuclear Disk: Evidence for a Non-Keplerian Gas Disk
- ALMA - Explore the Universe - NGC 4261: ALMA Reveals the Heart of a Giant Elliptical Galaxy
- NASA Science - Hubble Finds a New Black Hole — and Unexpected New Mysteries

























