
(引用元:Caltech)
こちらは、2019年7月24日にカリフォルニア工科大学が発表した、白色矮星どうしの連星系「ZTF J1539+5027」を描いた想像図です。

うしかい座の方向およそ8000光年先に位置するこの連星系は、公転周期がわずか約7分(6.91分)しかありません。連星を構成しているのはどちらも地球と同じくらいの大きさをした白色矮星で、互いの間隔は地球から月までの距離の約5分の1。連星系全体が土星の中にすっぽり収まってしまうほどコンパクトです。片方の星は小さくて高温(約4万9000K)、もう片方は大きくて低温(1万K未満)で、2つを合わせても太陽の質量の約0.8倍しかありません。
白色矮星とは、太陽のように自ら輝いていた恒星が晩年に赤色巨星へと進化し、外層のガスを放出したあとに残る高密度の天体のこと。恒星としての核融合はすでに止まっており、カリフォルニア工科大学のプレスリリースでも「Dead Stars(死んだ星)」と表現されています。
この連星系を発見したのは、パロマー天文台の48インチ(約122cm)サミュエル・オスキン望遠鏡に取り付けられた光学観測装置「ZTF(Zwicky Transient Facility)」です。16個の大型CCDセンサーで合計約5億7600万画素を持ち、天の川の大半を毎晩観測しています。カリフォルニア工科大学大学院生(当時)のKevin Burdge氏が、約2000万件の測光データの中から約6.91分周期の明滅パターンを見つけ出しました。地球からは、大きくて暗い白色矮星が小さくて明るい白色矮星の手前を横切る「トランジット(食)」が観測でき、そのとき明るさの大部分が遮られます。
一般相対性理論によれば、このような極めて接近した連星系は重力波を放出し続けるため、軌道は少しずつ縮小していきます。実際、Burdge氏らの研究チームが過去の観測データをさかのぼって調べたところ、2009年以降、公転周期が一貫して短くなっていることが確認されました。その縮小率は毎秒あたり約2.4×10⁻¹¹秒で、一般相対性理論の予測とよく一致しています。
約13万年後には公転周期が約5分にまで縮まり、大きい方の白色矮星がロッシュ・ローブ(星が物質を保っていられる重力的な範囲)を満たすことで、質量が相手へ移動し始めると予測されています。その後は「AM CVn型」と呼ばれる質量移動を伴う連星系に進化する可能性があるほか、質量移動が不安定な場合には最終的に合体して「かんむり座R型星」と呼ばれる特殊な天体になる可能性も指摘されています。
ZTF J1539+5027は、2035年頃に打ち上げが予定されているESAの宇宙重力波観測ミッション「LISA(Laser Interferometer Space Antenna)」にとっても重要な天体です。重力波の周波数が約4.8mHzとLISAの感度が高い帯域に近く、観測開始から最初の1週間で検出できるほど強い信号源になると見込まれています。
なお、2024年11月にはBurdge氏らが新たに公転周期7.95分、8.68分、13.15分という3つの超短周期白色矮星連星を発見したと報告しています。10分未満の軌道周期で降着円盤を持つ連星系はこれまで知られていなかったため、この分野の理解をさらに進める成果として注目されています。
編集/sorae編集部
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参考文献・出典
- Burdge, K. B. et al. 2019, "General relativistic orbital decay in a seven-minute-orbital-period eclipsing binary system", Nature, 571, 528–531
- Littenberg, T. B. & Cornish, N. J. 2019, "Prospects for Gravitational Wave Measurement of ZTF J1539+5027", ApJ Letters, 881, L43
- Burdge, K. B. et al. 2020, "A Systematic Search of Zwicky Transient Facility Data for Ultracompact Binary LISA-Detectable Gravitational-Wave Sources", ApJ, 905, 32
- Burdge, K. B. et al. 2024, "Gravitational-wave-driven Mass Transfer in the Shortest-period Ultracompact Binaries", ApJ, 977, 262
























