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若き三重連星「オリオン座GW星」へと続く巨大なガスの流れ その長さは約1万2000天文単位

こちらは、オリオン座の方向・約1300光年先の三重連星「オリオン座GW星(GW Orionis)」に、周囲のガスが巨大な流れとなって降り注ぐ様子を描いた想像図です。

若い三重連星「オリオン座GW星」(左下)と分子雲(右上)をつなぐストリーマーを描いた想像図(Credit: NSF/AUI/NSF NRAO/B. Saxton)
【▲ 若い三重連星「オリオン座GW星」(左下)と分子雲(右上)をつなぐストリーマーを描いた想像図(Credit: NSF/AUI/NSF NRAO/B. Saxton)】

画像の左下でオレンジ色に輝くリング、その中心にあるのがオリオン座GW星です。そこへ向かって伸びる青い帯状の構造がガスの流れを、右上のピンク色は星の材料となるガスと塵(ダスト)の集まりである分子雲を、それぞれ表しています。

このガスの流れは天文学で「ストリーマー」と呼ばれており、ここでは周囲の分子雲から原始惑星系円盤へと物質を供給する役割を果たす、細長い構造のことを指します。

今回、フロリダ大学のMaria Galloway-Sprietsma氏を筆頭とする研究チームがチリの電波望遠鏡群「ALMA(アルマ望遠鏡)」の観測データを分析したところ、オリオン座GW星へと続くストリーマーの全長は約1万2000天文単位(約0.2光年)に達することが明らかになりました。

謎の「傾いた3本のリング」

オリオン座GW星は、誕生してから数十万~130万年程度とみられる若い三重連星で、ガスと塵からなる原始惑星系円盤に囲まれています。この円盤には3本のリング状構造が存在しているのですが、最も内側のリングは連星の軌道面に対し約11度しか傾いていないのに対し、最も外側のリングは約40度も傾いていることが知られています。

リングどうしの傾き方が異なるのは、連星を成す星々もしくは未発見の巨大な惑星による重力が影響しているのではないかと考えられてきましたが、決定的な証拠は得られていませんでした。

ALMA(アルマ望遠鏡)で観測した「オリオン座GW星」を取り巻く3つのリング。一番内側のリングはほぼ正面から、外側の2つのリングはやや傾いた角度から見えているとされる。ここには写っていないが、オリオン座GW星はリングの中心に位置している(Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), Bi et al., NRAO/AUI/NSF, S. Dagnello)
【▲ ALMA(アルマ望遠鏡)で観測した「オリオン座GW星」を取り巻く3つのリング。一番内側のリングはほぼ正面から、外側の2つのリングはやや傾いた角度から見えているとされる。ここには写っていないが、オリオン座GW星はリングの中心に位置している(Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), Bi et al., NRAO/AUI/NSF, S. Dagnello)】

【▲ 観測結果をもとに再現されたオリオン座GW星の原始惑星系円盤のCG映像(Credit: ESO/Exeter/Kraus et al./L. Calçada)】

アルマ望遠鏡が捉えたストリーマーの実像

一酸化炭素分子から放たれた電波を捉えたアルマ望遠鏡の観測データをもとに、研究チームがストリーマーの運動を解析したところ、ストリーマーの質量は木星の約1.6倍で、この質量が原始惑星系円盤へ落下し切るまでの期間は約4万年と見積もられました。中心にあるオリオン座GW星がガスを取り込む速さの約10分の1という、ゆっくりしたペースです。

また、ストリーマーの角運動量のベクトルを調べたところ、最も内側のリングとは32度ずれていた一方で、最も外側のリングとは3度しかずれていないことも明らかになりました。このことから、外側のリングの傾きはストリーマーによってもたらされた可能性が強く示唆されるといいます。

ただし、現在観測されているストリーマーの角運動量は原始惑星系円盤全体の角運動量と比べて小さいため、円盤に大きな影響をおよぼすことはできません。研究チームは現在の状況について、分子雲からオリオン座GW星へと向かう物質の供給が終息へ向かう末期段階の兆候だと考えており、リングの傾きが不揃いになったのは、今よりも勢いが大きかった過去のストリーマーがより多くの角運動量を運び込んだからだと推測しています。

研究チームはストリーマーが原始惑星系円盤に衝突する位置を突き止めるために、今後は衝撃波の指標となる分子の観測を計画しているということです。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典