
(引用元:ESO)
今回紹介するのは、観測史上太陽系にもっとも近い恒星を公転する太陽系外惑星「プロキシマ・ケンタウリb(Proxima b)」の想像図です。ESO(ヨーロッパ南天天文台)が2016年8月24日に、この系外惑星の発見とあわせて公開しました。

赤い光に照らされた岩の世界
この画像に描かれているのは、プロキシマ・ケンタウリbの地表から見た風景です。地平線近くに浮かぶ大きな赤い星が主星の「プロキシマ・ケンタウリ」で、その傍らに小さく光る2つの点が、連星をなす「アルファ・ケンタウリA」と「アルファ・ケンタウリB」です。表面は岩に覆われた荒野として表現され、あたり一面が赤みを帯びた薄明かりのなかに沈んでいます。
プロキシマ・ケンタウリは、太陽よりずっと低温で暗い赤色矮星です。プロキシマ・ケンタウリbはそこから約700万kmしか離れておらず、地球と太陽の距離の約5%にあたる軌道を11.2日で一周しています。水星よりはるかに主星に近い軌道ですが、主星が暗いため、液体の水が存在し得る「ハビタブルゾーン」内を公転しています。
ただし、画像のように穏やかな世界とは限りません。プロキシマ・ケンタウリは紫外線やX線を伴う激しいフレアを放つ活動的な星で、惑星が受ける高エネルギー放射は地球よりはるかに強いとみられます。プロキシマ・ケンタウリbは常に同じ面を主星へ向けている可能性があり、片側では昼が、反対側では夜が続いているかもしれません。
淡く赤い点
この系外惑星の発見につながったのが、「ペイル・レッド・ドット(Pale Red Dot:淡く赤い点)」と名付けられた観測計画です。この名前は、ボイジャー1号が遠方から撮影した地球の画像を、天文学者のカール・セーガンが「ペイル・ブルー・ドット(Pale Blue Dot:淡く青い点)」と表現したことにちなんでいます。
2016年前半、チリのラ・シヤ天文台にあるESO 3.6m望遠鏡の分光装置「HARPS」が、プロキシマ・ケンタウリを繰り返し観測しました。捉えたのは、惑星の重力によって生じる主星のわずかな速度変化です。その大きさは時速約5kmと、人が歩く速度とほぼ変わりません。
約2年の準備を経て、観測は60夜にわたって行われました。研究チームは毎日データを確認し、主星の速度変化に11.2日周期の信号が現れていることを突き止めました。観測結果が判明する前から、計画の進捗がウェブサイトやSNSを通じて世界に発信されたことが、記憶に残っている方もいるのではないでしょうか。
発見からまもなく10年を迎える現在も、プロキシマ・ケンタウリbに生命が存在できる環境があるのかどうかは分かっていません。大気が存在するのか、主星の強いフレアにさらされながら水を保つことができたのか。今後の大型望遠鏡による観測で、その手がかりが得られる日は、そう遠くないかもしれません。
編集/sorae編集部
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参考文献・出典
- ESO - Planet Found in Habitable Zone Around Nearest Star
- ESO - Artist's impression of the planet orbiting Proxima Centauri
- ESO - Pale Red Dot campaign launched
- NASA - Proxima Centauri b
- Meadows et al. - The Habitability of Proxima Centauri b










