雨の日や雲に覆われた日が続いて星空を見られないと、なんだか気持ちまで沈んでしまうことはありませんか?そんな時は、夜空を旅する「バーチャルツアー」に出かけてみましょう。
目的地は、太陽系に最も近い恒星「プロキシマ・ケンタウリ」です。「プロキシマ」はラテン語で「最も近い」という意味ですが、それでも地球から約4.2光年離れており、光の速さでも到達するのに4年以上かかります。
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太陽系に最も近い恒星へのバーチャルツアー
このツアーでは、太陽系を離れると「みなみじゅうじ座」の明るい星々や、ケンタウルス座のα星・β星が見えてきます。やがて、ケンタウルス座α星に近づくと、かすかな赤い星が現れます。これが「プロキシマ・ケンタウリ」です。プロキシマ・ケンタウリは「赤色矮星」と呼ばれるタイプの星で、実視等級が11等星と非常に暗いため、肉眼で見ることはできません。
さらにケンタウルス座α星に接近すると、α星が実は「A」と「B」に分かれる二重星(連星)であることがわかります。そして、プロキシマ・ケンタウリはこの星系の「C」にあたる星で、ケンタウルス座α星系は「三重連星」だったのです。ツアーは、背景に太陽が見えてくるところで終わります。
次は「プロキシマ・ケンタウリb」へ
2016年には、プロキシマ・ケンタウリを公転する太陽系外惑星「プロキシマ・ケンタウリb」が発見されました。次の動画では、この惑星に焦点が当てられ、終盤にはその姿が大きく映し出されます。プロキシマ・ケンタウリbは「ハビタブルゾーン」内を公転しており、液体の水が存在する可能性がある場所です。
最後の動画では、プロキシマ・ケンタウリbが緑色で示されたハビタブルゾーン内を周回している様子が描かれています。後半はアーティストが想像したプロキシマ・ケンタウリbの表面(外観)も描かれていて、動画を見る側も想像力がかきたてられます。
また、近年では、さらに「プロキシマ・ケンタウリc」や「プロキシマ・ケンタウリd」の存在も報告されています。プロキシマ・ケンタウリへのバーチャルツアーが現実のものになるかはまだわかりませんが、
想像力の翼を広げれば、いつでも時空を超えて宇宙を飛び回ることができます。
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Source
- Video Credit: European Southern Observatory (ESO)
- Image Credit: NASA,ESA,Hubble / 天文学辞典(日本天文学会)/名古屋市科学館
- European Southern Observatory (ESO)
- ESO - New planet detected around star closest to the Sun
文/吉田哲郎 編集/sorae編集部