アルマ望遠鏡によって観測された三重連星「オリオン座GW星」を取り巻く3つのリング。最も内側のリングはほぼ正面から、外側の2つのリングはやや傾いた角度から見えているとされる。ここには写っていないが、オリオン座GW星はリングの中心に位置する(Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), Bi et al., NRAO/AUI/NSF, S. Dagnello)

【▲ アルマ望遠鏡によって観測された三重連星「オリオン座GW星」を取り巻く3つのリング。最も内側のリングはほぼ正面から、外側の2つのリングはやや傾いた角度から見えているとされる。ここには写っていないが、オリオン座GW星はリングの中心に位置する(Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), Bi et al., NRAO/AUI/NSF, S. Dagnello)】

こちらはオリオン座の方向およそ1300光年先にある三重連星「オリオン座GW星」の周辺の様子です。チリの電波望遠鏡群「アルマ望遠鏡(ALMA)」によって観測されたもので、色は塵の分布を示しています(人の目には見えない電波を使って観測されたため、色は擬似的に着色されています)。ここには写っていませんが、3つの恒星からなるオリオン座GW星はリングの中心に位置しています。

画像には3つの塵のリングが見えていますが、これはオリオン座GW星を取り囲むガスと塵でできた「原始惑星系円盤」が、何らかの理由で3つのリングに分かれていることを示していると考えられています。リングの半径は内側からそれぞれ46天文単位、188天文単位、338天文単位とされています(1天文単位=約1億5000万km、太陽から地球までの平均距離に由来)。3つのリングは中心にある3つの恒星の公転軌道に対して傾いているだけでなく、最も内側のリングは他のリングに対しても大きく傾いているとみられています。

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原始惑星系円盤に隙間ができて3つのリング状構造に分かれた理由については、オリオン座GW星自身の重力か、あるいはオリオン座GW星を周回する未確認の太陽系外惑星の重力による作用ではないかと予想されています。三重連星の重力だけでも傾いたリングが形成できると考える研究者もいれば、三重連星の重力だけでは最も内側のリングの大きな傾きが説明できないと考える研究者もいて、結論は出ていません。

▲観測結果をもとにCGで再現されたオリオン座GW星の原始惑星系円盤▲
(Credit: ESO/Exeter/Kraus et al./L. Calçada)

今回、ネバダ大学ラスベガス校のJeremy Smallwoodさんたち研究グループは、オリオン座GW星をなす3つの恒星を周回する系外惑星が存在する可能性を示した研究成果を発表しました。Smallwoodさんたちはオリオン座GW星を取り囲む原始惑星系円盤に隙間を生じさせたと考えられるさまざまな要因(三重連星の重力による影響も含む)を検討した結果、最も可能性が高いのは木星のような巨大ガス惑星が1つあるいは複数存在する場合だと結論付けています。

連星を中心に公転する惑星は「周連星惑星」と呼ばれていて、映画「スターウォーズ」シリーズに登場する惑星「タトゥイーン」のような2つの恒星を中心に公転する系外惑星については発見例があります。また、三重連星をなす恒星のどれかを公転する系外惑星も、過去に見つかったことがあります。しかし、3つの恒星を中心に公転する系外惑星はまだ見つかっていないといい、今回の研究成果はその存在を初めて示唆するものだと研究グループは言及しています。

研究を率いたSmallwoodさんは「惑星形成の理論を強固なものにする大変興味深い結果です。惑星の形成は私たちの想像をはるかに上回るほど活発であることを意味するのかもしれません」と語ります。発表によると、今後数か月で期待されるアルマ望遠鏡によるオリオン座GW星のさらなる観測によって、原始惑星系円盤で起きていることの直接的な証拠が得られるかもしれないとのことです。

 

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Image Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), Bi et al., NRAO/AUI/NSF, S. Dagnello
Source: UNLV
文/松村武宏

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