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スペースX「ファルコン9」上段が月面に衝突 形成されたクレーターをNASA月周回衛星が撮影

こちらは、NASA(アメリカ航空宇宙局)の月周回衛星「LRO(ルナー・リコネサンス・オービター)」に搭載されている光学観測装置「LROC」を使って、2026年8月11日に撮影された月面の様子。中央の四角で囲まれている部分には、ロケットの一部が衝突したことで形成されたばかりのクレーターが写っています(画像左下に示されているのはその部分の拡大図です)。

月周回衛星「LRO(ルナー・リコネサンス・オービター)」の光学観測装置「LROC」で2026年8月11日に撮影された月面の様子。中央の四角で囲まれている部分にはSpaceXの「ファルコン9」ロケット上段が衝突して形成されクレーターが写っている。左下はその拡大図(Credit: NASA/GSFC/Intuitive Machines)
【▲ 月周回衛星「LRO(ルナー・リコネサンス・オービター)」の光学観測装置「LROC」で2026年8月11日に撮影された月面の様子。中央の四角で囲まれている部分にはSpaceXの「ファルコン9」ロケット上段が衝突して形成されクレーターが写っている。左下はその拡大図(Credit: NASA/GSFC/Intuitive Machines)】

日米の月着陸船を打ち上げたロケットの一部が月に衝突

衝突したのは、アメリカのSpaceX(スペースX)社が2025年1月15日に打ち上げたFalcon 9(ファルコン9)ロケットの上段(2段目)です。衝突は事前に予測されており、日本時間2026年8月5日15時35分頃に発生しました。

ファルコン9上段の衝突で形成されたクレーターは、直径18m、深さ3m未満とされています。クレーターの南側にはV字型に明るい部分がありますが、これは水平方向から約31度という浅い角度で衝突したために広がった噴出物とみられています。

また、明るさの違いは噴出物の違いによって生じており、暗い部分は宇宙風化の影響を長年受けてきた表面から深さ約45cmまでの浅い部分のレゴリス(月面を覆う細かな砂状の物質)、明るい部分はそれよりも深い場所にあった宇宙風化の影響が少ないレゴリスに由来するとみられています。

この上段は、アメリカのFirefly Aerospace(ファイアフライ・エアロスペース)社の月着陸船「Blue Ghost(ブルーゴースト)」および日本のispace社の月着陸船「RESILIENCE(レジリエンス)」の打ち上げに使用されたものです。

当初、2機を分離した上段は月面に衝突する軌道には乗っていませんでしたが、NASAによれば太陽活動や重力の影響で軌道が変化し、今回の衝突に至りました。

ファルコン9上段の衝突地点における衝突前と衝突後の画像を比較したアニメーション画像(Credit: NASA/GSFC/Intuitive Machines)
【▲ ファルコン9上段の衝突地点における衝突前と衝突後の画像を比較したアニメーション画像(Credit: NASA/GSFC/Intuitive Machines)】

米韓の宇宙機関が連携して観測を実施

LROによる観測は、KARI(韓国航空宇宙研究院)の月探査機「KPLO(Korea Pathfinder Lunar Orbiter)」、愛称「タヌリ」の観測に続いて行われました。

KARIはJPL(NASAジェット推進研究所)のCNEOS(地球近傍天体研究センター)が算出したファルコン9上段の落下予測地点をもとに、衝突から数時間後の画像をKPLOで取得し、衝突前の画像と比較することでクレーターの存在を確認しました。その位置はCNEOSの予測地点と約1kmしか違わなかったといいます。

LROによる衝突地点の観測はKPLOの観測で得られた座標をもとに計画されましたが、軌道の都合により、実際に観測を行えたのは衝突の6日後でした。月を約2時間で一周するLROは毎回通過地点が少しずつ移動していくため、同じ地点を観測する場合は毎回違う角度から見ることになります。8月11日から12日にかけて合計5回撮影された画像はLROから見て異なる角度から衝突地点を捉えており、月面の異なる特徴が浮かび上がっています。

さまざまな位相角で撮影されたファルコン9上段の衝突地点(Credit: NASA/GSFC/Intuitive Machines)
【▲ さまざまな位相角で撮影されたファルコン9上段の衝突地点(Credit: NASA/GSFC/Intuitive Machines)】

ごく希薄な大気しか存在しない月の表面には毎日のように隕石が衝突しており、NASAによれば今回のファルコン9上段と同規模の衝突は約6日ごとに発生しています。より低頻度ではあるものの人工物の衝突もたびたび発生しており、今回は予定外だったものの、ロケット上段の月面への投棄は“技術的に認められた安全な方法”だとNASAは述べており、今回の衝突は天体の落下を追跡する技術の訓練に活用されたということです。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典