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ハッブル宇宙望遠鏡が観測した“逆S字”型の惑星状星雲「NGC 5189」

こちらは、ハッブル宇宙望遠鏡が観測した惑星状星雲「NGC 5189」。はえ座の方向、地球から約1780光年先にあります。

ハッブル(Hubble)宇宙望遠鏡が観測した惑星状星雲「NGC 5189」(Credit: NASA, ESA and the Hubble Heritage Team (STScI/AURA))
【▲ ハッブル宇宙望遠鏡が観測した惑星状星雲「NGC 5189」(Credit: NASA, ESA and the Hubble Heritage Team (STScI/AURA))】

星雲の中央を左右に貫く青白い帯状の構造は、高密度なガスの領域です。そこから放射状に伸びたオレンジ色のフィラメント(ひも状)構造によって、星雲全体が「逆S字」を描いているように見えるのが印象的です。

太陽のような比較的軽い恒星(質量は太陽の8倍以下)は、晩年を迎えると主系列星から赤色巨星に進化し、外層からガスや塵を放出するようになります。やがてかつての中心核(コア)だけが中心星として残る頃になると、放出されたガスが中心星から放射された紫外線によって電離して、光を放つようになります。こうして誕生するのが惑星状星雲で、NGC 5189もそのひとつです。

1826年の発見以来、NGC 5189は明るい輝線星雲だと考えられていましたが、1967年のスペクトル(電磁波の波長ごとの強さの分布)の観測をきっかけに、惑星状星雲であることが明らかになりました。

連星が生み出した逆S字型の複雑な構造

NGC 5189の中心から放射状に分布する無数の結び目のような構造は、一見すると小さな雲や彗星のように思えますが、実際にはそのひとつひとつが太陽系全体に匹敵するほど大きなものです。こうした構造は、中心星が単独ではなく別の天体と連星を成していて、歳差運動(自転軸の首振り運動)をしながらガスを放出し続けた結果だと考えられてきました。

2015年に発表された研究では、南アフリカのSALT(南アフリカ大型望遠鏡)を用いた分光観測(天体のスペクトルを得る観測手法)のデータをもとに、中心星が約4.04日周期で揺れ動いていることが報告されています。このことから、中心星は太陽の0.5倍以上の質量を持つ白色矮星と連星を成していると考えられており、NGC 5189の複雑な形状が連星系によって形成されたとする予想を裏付ける結果となりました。

宇宙の長い歴史の中では、数万年ほどで消えていく惑星状星雲は短命な天体です。それでもなお、複雑な構造を持つNGC 5189は、比較的軽い恒星がその生涯の最期にたどる道筋を理解するための手がかりになっているのです。

冒頭の画像はESA/Hubbleから2012年12月18日付で公開されました。

本記事は2019年2月5日公開の記事を再構成したものです。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典