星雲の中心で煌めく星団の星々 ハッブル宇宙望遠鏡が観測した「NGC 3603」

こちらは「りゅうこつ座(竜骨座)」の方向約2万2000光年先にある星雲「NGC 3603」のクローズアップです。星雲の中央付近にある星団の星々がまばゆく輝いている様子を捉えています。

ハッブル宇宙望遠鏡(HST)の広視野カメラ3(WFC3)で観測された星雲「NGC 3603」のクローズアップ(Credit: NASA, ESA, R. O'Connell (University of Virginia), F. Paresce (National Institute for Astrophysics, Bologna, Italy), E. Young (Universities Space Research Association/Ames Research Center), the WFC3 Science Oversight Committee, and the Hubble Heritage Team (STScI/AURA))
【▲ ハッブル宇宙望遠鏡(HST)の広視野カメラ3(WFC3)で観測された星雲「NGC 3603」のクローズアップ(Credit: NASA, ESA, R. O'Connell (University of Virginia), F. Paresce (National Institute for Astrophysics, Bologna, Italy), E. Young (Universities Space Research Association/Ames Research Center), the WFC3 Science Oversight Committee, and the Hubble Heritage Team (STScI/AURA))】

ガスを吹き払い姿を表した若き星団の星々

NGC 3603はガスと塵(ダスト)から活発に星が生み出されている星形成領域として知られています。誕生した大質量星は強烈な紫外線や激しい恒星風を発することで自らを生み出したガスと塵の雲を周囲から吹き払っており、その結果として雲の中から星団の姿が現れました。

また、大質量星は寿命が短く、質量が太陽の8倍以上あるものは超新星爆発を起こして恒星としての寿命を終えることになります。一見すると優雅な天界の光景に思えますが、実際は見た目ほど穏やかな環境ではありません。

こうした星団の星々はほとんど同じ時期に形成されますが、サイズ・質量・温度・色にはそれぞれ違いがあります。恒星の生涯は主に質量に左右されるため、星の年齢が揃っている星団で生涯の様々な段階にある星々を観測することは、恒星のライフサイクルを詳しく分析するための貴重な機会をもたらすのです。

この画像は「ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope: HST)」の「広視野カメラ3(WFC3)」で取得したデータを使って作成され、NASA=アメリカ航空宇宙局が2010年7月6日付で公開したもので、2025年4月のハッブル宇宙望遠鏡打ち上げ35周年を記念して改めてNASAが紹介しています。


文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典

  • NASA - Starburst Cluster Shows Celestial Fireworks