
NASA(アメリカ航空宇宙局)は現地時間2026年2月25日、有人月周回ミッション「Artemis II(アルテミスII)」で使用される大型ロケット「SLS(Space Launch System=スペース・ローンチ・システム)」および宇宙船「Orion(オリオン、オライオン)」を、発射台からVAB(ロケット組立棟)へと戻す移動作業「ロールバック」を実施しました。

半日近い時間をかけて射点からVABへと移動
NASAによれば、SLSを載せた移動式発射台は、アメリカ東部標準時2026年2月25日9時38分にフロリダ州ケネディ宇宙センターの39B射点から移動を開始。輸送車両「Crawler-Transporter 2(クローラー・トランスポーター2)」を用いて約4マイル(約6.4km)の距離をゆっくりと進み、出発から10時間半ほど後のアメリカ東部標準時同日20時頃にVABへと無事に到着しました。
当初、ロールバックは前日の現地時間2月24日に開始される予定でしたが、強風などの悪天候を考慮して延期されていました。
理由はロケット2段目のヘリウム供給トラブル
今回のロールバックは、SLSの上段(2段目)にあたる「ICPS(Interim Cryogenic Propulsion Stage)」で発生したトラブルに対処するための措置の一環として実施されました。
NASAによれば、現地時間2026年2月19日に完了した第2回ウェットドレスリハーサル(WDR: Wet Dress Rehearsal、推進剤充填を伴う打ち上げリハーサル)および、その前に実施された第1回WDRの期間中は、機体のシステムは正常に機能していました。しかし、第2回WDR完了後の通常作業中に、エンジンの環境維持や極低温推進剤タンクの加圧に欠かせないヘリウムの供給が適切に行えなくなる問題が確認されたということです。
地上設備とロケットを繋ぐ接続部(アンビリカル)や機体搭載のバルブ類など、原因として疑われる箇所へのアクセスや修復作業は射点では実施できないため、機体をVABへと戻すロールバックが行われました。今後はVAB内で技術チームがヘリウム供給問題の診断と修理を行うほか、機体各所のバッテリー交換や、SLS側の飛行中断システムの整備および再テストなどが実施される予定です。
今後のスケジュールへの影響は?
今回のロールバックに伴い、2026年3月の打ち上げ機会におけるArtemis IIミッションの打ち上げ実施は見送られる見通しです。今後のスケジュールは原因究明と修理作業の進捗次第となりますが、作業が迅速に進めば、現地時間2026年4月1日からの打ち上げ機会に間に合う可能性も残されているということです。

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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