旧ソ連の探査機の一部はインド洋に落下か ロスコスモスが発表

ロシアの国営宇宙企業Roscosmos(ロスコスモス)は日本時間2025年5月10日、旧ソ連時代に打ち上げられて地球を周回し続けていた「Cosmos(コスモス)482」の一部について、インド洋に落下したとする声明を発表しました。

それによると、Roscosmos傘下のTsNIIMash=機械工学中央研究所の計算にもとづく情報として、この物体は日本時間2025年5月10日15時24分にインド洋東部にある中アンダマン島の西560kmの上空で大気圏に再突入し、ジャカルタ西方のインド洋に落下したということです。

RoscosmosやNASA=アメリカ航空宇宙局の資料などによると、Cosmos 482は金星探査機「Venera 8(ベネラ8号)」と同一設計の探査機として、1972年3月に打ち上げられました。

一時的に地球を周回する軌道に投入された後、Cosmos 482は金星へ向かう予定でしたが、ロケット上段の不具合によって地球を周回する楕円軌道に留まることに。機体は4つに分裂し、そのうち2つは軌道が減衰して48時間以内に大気圏へ再突入しましたが、探査機の一部(着陸機と推定)およびロケット上段とみられる2つの物体は地球を周回し続けていました。

今回大気圏に再突入したのは、Cosmos 482の着陸機とみられる物体です。打ち上げ時のCosmos 482の重量は1184kgで、着陸機はそのうち495kgとされています。金星の濃い大気に突入して地表に到達することを目指して作られ、同一設計のVenera 8では実際に到達したことを踏まえて、NASAのオンラインカタログではCosmos 482の着陸機とみられる物体は大気圏再突入に耐えて地上・海上に達する可能性があると指摘されていました。

※…Kosmosとも。ロシア語ではКосмос。

関連画像・映像

旧ソ連の金星探査機「ベネラ8号」の打ち上げ準備作業の様子。一部が間もなく大気圏に再突入するとみられる「コスモス482」は同一設計とされる
【▲ 旧ソ連の金星探査機「ベネラ8号」の打ち上げ準備作業の様子。一部が間もなく大気圏に再突入するとみられる「コスモス482」は同一設計とされる(Credit: Wikimedia Commons/Lavochkin/Roscosmos (CC0 1.0))】

 

文/sorae編集部 速報班 編集/sorae編集部

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参考文献・出典



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