NASAは、初の「惑星防衛」の技術実証をする探査機を打ち上げました。このミッションは「DART」(Double Asteroid Redirection Test:二重小惑星方向転換試験)と呼ばれ、探査機を小惑星へぶつけることにより、軌道変更を行う実験を実施します。探査機を搭載したスペースX社のファルコン9ロケットは、日本時間11月24日午後3時21分、カルフォルニアにあるヴァンデンヴァーグ宇宙軍基地第4番発射台から打ち上げられました。

DARTミッションで使用される探査機を搭載したファルコン9ロケット(Credit: NASA)

【▲DARTミッションで使用される探査機を搭載したファルコン9ロケット(Credit: NASA)】

その後、発射から約55分後にロケットからの分離に成功し、数分後には地球と最初の通信や探査機に設置されている太陽光パネルの展開も確認されました。なお、お馴染みとなったファルコン9ロケットの再帰還にも成功。このミッションでは、3回目の機体を使用し、太平洋上に待機するドローン船「Of Cource I Still Love You」へ着陸しました。

切り離される探査機(Credit: NASA)

【▲切り離される探査機(Credit: NASA)】

DARTは、直径780mの小惑星ディディモス(Didymos)の衛星であるディモルフォス(Dimorphos)に探査機を衝突させて、軌道変更を行います。ミッションは、ジョンズ・ホプキンス大学応用物理学研究所がリードして実施されます。また、探査機にはイタリア宇宙機関(ASI)が開発したキューブサット「LICIACube」が搭載され、探査機の衝突前に切り離され、衝突の瞬間を撮影する予定です。さらに4年後、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)のHeraミッションが、両方の小惑星について詳細な調査を行う予定にもなっており、「国際的な」プロジェクトといえます。探査機は、2022年9月26日から10月1日の間に、秒速6.6kmでディモルフォスに衝突する予定です。そして軌道の変更は、地上にある精密な望遠鏡により観測が可能であるとしています。

DART探査機の想像図(Credit:NASA/Johns Hopkins APL/Ed Whitman)

【▲DART探査機の想像図(Credit:NASA/Johns Hopkins APL/Ed Whitman)】

地球への天体衝突は私たちにとって脅威です。2013年にはロシアで隕石が落下し、1000名以上の負傷者が発生しました。また一方で、天体衝突を想定したSF映画やSF小説が古くから作られてきました。NASA長官のビル・ネルソン氏は「DARTは科学小説を科学的な事実に変えるでしょう」と述べています。

地球に接近する軌道を描く小惑星は「地球接近天体」(Near Earth Object)と呼ばれ、特に衝突の危険性が高いものは「潜在的に危険な小惑星」(Potentially Hazardos Asteroid)として追跡観測の対象となっています。万が一、小惑星が地球へ衝突する確率が高くても、衝突体をぶつけて軌道を変える「キネティック・インパクト」により回避できるとされており、DARTはこれを初めて実証するミッションです。

 

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Image Credit: NASA/Johns Hopkins APL/Ed Whitman
Source: NASA/Space News/NASA Spaceflight
文/出口隼詩

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