アメリカ国立電波天文台の「カール・ジャンスキー超大型干渉電波望遠鏡群(VLA)」(Credit: Alex Savello)

「人類はこの宇宙で孤独な存在なのか」、その問いに対する答えは今も見つかっていません。今回、通信技術を獲得した知的生命体による文明が天の川銀河に幾つ存在するのかを推定した研究成果が発表されています。もしも他の知的生命体と交信したいと願うなら、まずは私たち自身が滅びないために努力しなければならないようです。

■きびしい条件でも高度な文明が36以上存在している可能性

Christopher Conselice氏Tom Westby氏(いずれもノッティンガム大学)は、通信技術を得るに至った人類が登場するまで地球の誕生からおよそ50億年かかったことを念頭に、誕生から50億年以上経った恒星の割合、適度な惑星がハビタブルゾーンに存在している恒星の割合、他の知的生命体との通信を可能とする技術を獲得した文明(以下「高度な文明」)が存続する期間などの複数の条件をもとに、天の川銀河に存在する高度な文明の数を12のパターンごとに求めました。

その結果、最もきびしい条件における「高度な文明の数」は天の川銀河全体で約36以上、「最寄りの高度な文明までの距離」は約1万7000光年以下と試算されています。きびしい条件とはいえこれだけの数の高度な文明が天の川銀河のどこかに存在する可能性が示されるものの、互いの距離が離れすぎているために、信号を受信するのは現時点ではほぼ不可能だろうと両氏は考えています。

今回の研究では、広大な星間空間に隔てられた他の文明の信号を受信するまでに費やされる期間も推定されており、前述の最もきびしい条件の場合は約3060年以上と試算されています。言い換えると、人類が別の知的生命体による信号を見つけたいと願うのであれば、この条件では30世紀以上に渡って信号を探し続けなければならないことになります。

■ゆるい条件でも通信を見つけるのに1000年以上かかる?

また、条件が一番ゆるい場合、天の川銀河全体における「高度な文明の数」は約928以上、「最寄りの高度な文明までの距離」は約3320光年以下、「他の文明の通信を受信するまでに費やされる期間」は約1030年以上と試算されており、ゆるい条件でも信号を受信するには10世紀以上かかる可能性が示されています。

「今すぐに別の知的生命体とコミュニケーションするのは難しい」ことを示唆する今回の研究結果について、研究を主導したConselice氏は、人類の文明がどれくらい存続できるかについての手がかりが得られるとしています。

Conselice氏らは、今回の試算が「通信技術を獲得した文明が存続する期間」の推定値に大きく左右されることを示した上で、別の文明と同時期に存在するためには個々の文明が長期間存続しなければならない点を指摘。もしも人類が知的生命体の信号を受信することができたなら、それは人類の文明もまた数百年以上の長期間に渡り存続できる可能性を示すことになるとしています。

いっぽう、人類以外に知的生命体が見つからなかった場合は、高度な文明が存続できる期間が短いか、適切な環境が整っていたとしても必ずしも高度な文明が出現するとは限らない可能性が示されるといいます。Conselice氏は「知的生命体を探して何も見つからなかったとしても、私たちは自身の未来と運命を見つけることになります」とコメントしています。

天の川銀河の想像図(Credit: NASA/JPL-Caltech/R. Hurt (SSC/Caltech))

 

Image Credit: Alex Savello
Source: ノッティンガム大学
文/松村武宏

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