中国が静止軌道上に太陽光発電システムを建設するために新しい超重量級のロケットを利用するという計画を、ロケットの開発関係者が言及しました。2030年に打ち上げ予定の「長征9号」は現在中国が開発中で、重量約878トン、全長約57メートルもある超重量級のロケットです。同ロケットの積載量は高度約2,000kmの地球低軌道(LEO)だと140~150トン、月遷移軌道(TLI)に投入する場合には50~53トンまで積載可能だといいます。2020年11月に中国が打ち上げた月面探査機「嫦娥5号」の約8.2トンと比較すると、破格の規模であることがわかります。

2000年11月に打ち上げた中国のロケット「嫦娥5号」(Credit: CNSA)

【▲ 2000年11月に打ち上げた中国のロケット「嫦娥5号」(Credit: CNSA)】

長征シリーズのチーフデザイナー竜楽豪氏によると、長征9号は「宇宙太陽光発電システム」の建設に利用される予定です。多くの人工衛星や国際宇宙ステーション(ISS)などでは電力を得るために太陽光発電システムが利用されていますが、発電した電気をマイクロ波に変換した上で地上へ伝送し、再び電気に変換して利用する宇宙太陽光発電システムは、いわば「宇宙に建設された太陽光発電所」と言えるシステムです。

宇宙空間に太陽光発電システムを設置するメリットとして、発電量が天候や季節の影響をほとんど受けないことなどが挙げられます。宇宙太陽光発電システムのアイディアは米国のPeter Glaser氏によって1968年に提唱され、近年では米国や日本などが建設を計画しています。

宇宙空間に設置された太陽光発電システムの想像図(Credit: Mafic Studios, Inc.)

【▲ 宇宙空間に設置された太陽光発電システムの想像図(Credit: Mafic Studios, Inc.)】

中国では2008年に宇宙太陽光発電システムの建設計画がリストアップされ、中国空間技術研究院(CAST)が2019年にテストを開始しました。2022年には小規模な発電テストを実施し、2030年頃にはメガワット規模まで発電量を上げるといいます。

ギガワット規模の商用太陽光発電システムは2050年までに実現するとされていますが、総重量約1万トンのシステムを組み立てるためには100機以上の長征9号が必要だとしています。

 

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Image Credit: CNSA
Source: SPACENEWS, SPACE.com
文/Misato Kadono

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