「月は何色ですか?」と聞かれたとき、多くの人は白や黄色を思い浮かべるかもしれません。
しかし、実際の月の色はもっと複雑です。月の表面そのものは、宇宙から見ると暗い茶色がかった灰色(灰褐色)をしています。しかし、地球から見る月の色は、地球の大気や観察条件によってさまざまに変化します。
月の色のバリエーション:なぜ異なるのか?
月の色が変わる理由の一つは、地球の大気です。
- 大気の散乱作用
太陽光は様々な波長の光で構成されています。その中で、短い波長の青い光は大気中の分子に散乱されやすく、昼間の空が青く見える原因となります。一方、波長の長い赤い光は散乱されにくいため、太陽が低い位置にあるときには赤やオレンジ色に見えるのです。月光も同じ影響を受け、地平線付近では赤やオレンジ、濃い黄色の月が見られることがあります。
- 大気中の塵や水蒸気の影響
青い月や紫色の月など珍しい色の月は、大気中に浮遊する塵や水蒸気の粒子サイズが光の波長と一致する場合に観測されます。これにより、通常とは異なる色が作り出されるのです。
月の色はこんなに!?満月の色を集めた画像
天体写真家Marcella Giulia Pace氏は、10年以上にわたりイタリア各地で満月の色を撮影し、独自のコレクションを作成しました。以下にその特徴を紹介します。
- 渦巻き状の配列
カラフルな満月が中央から外側へと広がるように配置され、自然界の月の多様な色彩を美しく表現しています。
- 紫色の月
このコレクションの中で特に目を引くのが紫色の月です。科学者たちによると、この色の原因は複数の要因が組み合わさった結果と考えられていますが、詳細は明らかにされていません。
- 赤い月(ブラッドムーン)
2018年7月の皆既月食で捉えられた赤い月も印象的です。地球の影に入り、地球の大気を通過した赤い光で照らされた月は、独特の赤みを帯びています。
月の色と高さの関係:観察ポイント
満月は、地平線から昇るにつれて色が変わります。これは観測条件や光の屈折によるものです。例えば、地平線近くでは赤やオレンジ色、夜空の高い位置では白や黄色に見えることが一般的です。
月の色の科学:色を決める要因
- 光の散乱と屈折
赤い月:地平線付近、大気の影響が大きいとき
黄色い月:地平線より少し高い位置
白い月:大気の影響が少ないとき
- 特殊な大気現象
青い月:塵や煙が多い場合
紫色の月:未解明の要因
月の色は地球の大気や観察条件により多様な表情を見せてくれます。科学的な背景を知ることで、普段見上げる月がさらに興味深いものになるでしょう。
満月の関連記事
- 🌕️満月・新月カレンダー
各月の満月の愛称や月に関する豆知識を掲載しています。 - ブラッドムーンを横切る青い帯 オゾン層が作り出す「ターコイズフリンジ」
月食中に見られる特別な現象について詳しく解説しています。 - 非常に珍しい「月の4重ハロー(4重月暈)」幸運に恵まれた冬空の光景
4重月暈はめったに見ることのできない現象です。その珍しさを解説します。
※冒頭の画像はAstronomy Picture of the Day(APOD)に2020年11月11日付で掲載されています。
Source
- Image Credit: Marcella Giulia Pace
- APOD - Colors of the Moon
文/吉田哲郎 編集/sorae編集部