日本時間3月6日未明、予告通りNASAの火星探査車「マーズ2020」の名称が発表されました。9つの最終候補から選ばれたのは「Perseverance(パーセベランス)」。日本語では忍耐や忍耐力、粘り強さといった意味を持つ言葉です。
■名付け親になったのは米国バージニア州に住む7年生の少年
総数2万8000件の応募から選ばれたのは、バージニア州に住む7年生(日本の中学1年生に相当)のAlexander Matherくん。2年前まではゲームに夢中だったという彼は、2018年の夏にサターンVロケットの展示を目にしたことで一変。以来、NASAのウェブサイトを毎日のようにチェックするのはもちろん、宇宙飛行士の自伝を読んだり、実際に飛ばすことができるモデルロケットを3Dプリンターで作成したりと、大の宇宙好きになったといいます。
「(マーズ2020の命名キャンペーンに)挑戦しないなんてありえなかった」と語るMatherくんは、応募時のエッセイのなかで、『過去に火星へ送られた「キュリオシティ(好奇心)」「インサイト(洞察力)」「スピリット(精神)」「オポチュニティ(機会)」といったNASAの探査機や探査車の名前は、どれも人間の資質を表している。けれど、過酷な状況に適応する術を学べるように進化した人類にとって、「忍耐」がいかに重要な資質であるかが見落とされていた』と述べています。
Matherくんと彼の家族は、今年の夏に予定されているパーセベランスの打ち上げに招待されました。また、Matherくんや彼とともに最終候補に選ばれた8名を含むセミファイナリスト合計155名の提案した名前とエッセイが、小さなシリコンチップに印刷された上でパーセベランスに搭載され、火星へと送られることも発表されています。
『未来に向かう人類はこれからも耐え続ける』と綴るMatherくんが名付けたパーセベランスは、現在ケネディ宇宙センターで最後の組み立て作業と点検が行われています。数日前にはケーブルの保護も兼ねる「PERSEVERANCE」と刻印されたプレートが、パーセベランスのロボットアームに取り付けられました。今年の夏に打ち上げられるパーセベランスは、日本時間2021年2月19日の5時40分すぎに火星へと着陸する予定です。
Image Credit: NASA/JPL-Caltech
Source: NASA
文/松村武宏