
(引用元:ESA/Hubble)
こちらは地球からおよそ32光年先に位置する赤色矮星「けんびきょう座AU星(AU Microscopii)」と、その周囲を回る惑星「AU Mic b」の様子を描いた想像図です。主星からの強い放射や恒星風の影響で、惑星の大気が宇宙空間へ流れ出している姿が表現されています。

けんびきょう座AU星は非常に若い赤色矮星で、年齢は1億年未満とされています。最も内側を回る惑星AU Mic bは、直径が地球の約4倍、公転周期は約8.46日。主星からの距離は約0.066天文単位で、太陽から水星までの距離の約6分の1しかありません。
これほど近い距離を、活動の激しい若い赤色矮星の近くで回っているため、惑星の上層大気は強い紫外線などの高エネルギー放射で加熱され、水素が宇宙空間へ流出していると考えられています。
ところが、ハッブル宇宙望遠鏡でこの惑星のトランジットを複数回観測したところ、大気流出の見え方が観測ごとに大きく異なっていました。ある観測では流出の兆候が見られなかった一方で、約1年半後の別の観測では明確な兆候が捉えられたのです。NASAはこの変動を、大気が「しゃっくり」をしているようだと紹介しています。
さらに興味深いことに、大気流出が検出された観測では、ガスが惑星の進行方向側に広がっていました。通常の尾のように後方へ伸びるのではなく、前方に広がるように見えたのです。
この奇妙なふるまいについて研究チームは、観測の約7時間前に起きた強力な恒星フレアが水素を電離して見えにくくした可能性や、恒星風が流出ガスの形を変えている可能性を検討しています。
赤色矮星は天の川銀河で最も多いタイプの恒星です。こうした恒星の周囲を回る惑星が大気をどこまで保てるのかという問題は、赤色矮星系の居住可能性を考えるうえでも重要なテーマとなっています。
編集/sorae編集部
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参考文献・出典
- NASA Science "Hubble Sees Evaporating Planet Getting the Hiccups"
- Rockcliffe et al., The Astronomical Journal (2023)

























