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過去最長の19日間におよぶ太陽からの「電波バースト」を観測 探査機複数で発生源を特定

NASA(アメリカ航空宇宙局)ゴダード宇宙飛行センターやメリーランド大学ボルティモア校などの研究チームによると、2025年8月から9月にかけて太陽で発生した「電波バースト」が、19日間という異例の長期間にわたり継続していたことが確認されました。この記録的な観測成果についての論文は学術誌「The Astrophysical Journal Letters」に掲載されています。

2017年8月の皆既日食時に撮影されたヘルメットストリーマ(V字型に伸びている構造)(Credit: Miloslav Druckmüller, Peter Aniol, Shadia Habbal/NASA Goddard, Joy Ng)
【▲ 2017年8月の皆既日食時に撮影されたヘルメットストリーマ(V字型に伸びている構造)(Credit: Miloslav Druckmüller, Peter Aniol, Shadia Habbal/NASA Goddard, Joy Ng)】

過去の記録を大幅に更新した異例の長さ

今回観測されたのは、「IV型電波バースト(Type IV radio burst)」と呼ばれる現象です。NASAによれば、このタイプの電波バーストは太陽コロナの磁場に捉えられた電子の集まりから放出されるもので、通常は数時間から数日程度しか継続しません。過去の最長記録(2002年5月に観測)は約5日間でしたが、今回の現象は19日間と、これまでの記録と研究者の予想を大幅に上回る異例の長さとなりました。

地球に届く電波そのものは無害ですが、IV型電波バーストを長期間維持するような強力な磁気環境は、人工衛星や宇宙船などに影響を及ぼす有害な粒子を放出する太陽活動をともなうことがあります。そのため、宇宙天気(※太陽活動が地球周辺の宇宙環境に与える影響のこと)の観点からも、そのメカニズムの解明が重要視されています。

4機の探査機による連携と新手法による発生源の特定

19日間という長期にわたる観測は、単一の探査機だけでは不可能でした。論文によれば、太陽の自転によって発生源が裏側へと移動していくなかで、Solar Orbiter(ソーラー・オービター)Wind(ウィンド)、Parker Solar Probe(パーカー・ソーラー・プローブ)、STEREO-A(Solar Terrestrial Relations Observatory)という、太陽の周囲の異なる位置に配置された4機の探査機がリレーのように観測を引き継ぐことで、現象の全貌を捉えることができたといいます。

さらに研究チームは、STEREO-Aのデータを利用して、電波の伝播の歪みを補正する新たな分析手法(WCRS: Wavevector-Corrected Ray Sphere)を導入し、今回観測された電波バーストの発生源をピンポイントで特定することにも成功しました。

その結果、電波は「ヘルメットストリーマ(helmet streamer)」と呼ばれる、兜(かぶと)のような形をした、皆既日食時によく見られる巨大な磁気構造から発せられていることが判明しました。また、この領域で期間中に連続して発生した3回のコロナ質量放出(※CME: 太陽コロナから大量のプラズマと磁場が放出される現象)が、電子を継続的に供給・再加速する役割を担ったことで、記録的な長さの電波バーストになったと考えられています。

宇宙天気予報の精度向上への期待

今回実証された、単一の探査機の観測データからでも電波バーストの発生源を正確に特定できる新たな手法は、今後の太陽観測において非常に強力なツールとなります。

NASAによると、今回の研究成果は太陽からの電波バーストに対する科学的な理解を深めるだけでなく、将来における宇宙天気予報の改善や、地球周辺のインフラを太陽の脅威から守るための予測能力の向上に大きく貢献することが期待されるということです。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典