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ケンタウルス座で新たに2つの太陽系外惑星を確認 トランジット法では最長クラスの公転周期

ラ・ラグーナ大学(ULL)とカナリア天体物理研究所(IAC)のCarlos del Burgoさんを筆頭とする国際的な研究チームは、誕生から間もない若い恒星「HD 114082」を周回する2つの太陽系外惑星の性質を明らかにする研究成果を発表しました。

研究チームによると、これらは「トランジット法」(※)を利用した観測によって発見された惑星のうち、若い恒星を周回するものとしては最も長い公転周期を持っているといいます。研究チームの成果をまとめた論文は学術誌「The Astrophysical Journal Letters」に掲載されています。

※…観測者から見て惑星が恒星の手前を横切る時に生じる、恒星のわずかな減光を捉える観測手法。繰り返し起きるトランジットを観測することで、周期をもとに惑星の公転周期を知ることができる。また、トランジットが起きた時の恒星の光度曲線(時間の経過にあわせて変化する天体の光度を示した曲線)をもとに、惑星の直径や大気の有無といった情報を得ることも可能。

若い恒星「HD 114082」を公転する2つの太陽系外惑星のイメージ図(Credit: Illustration: Gabriel Pérez Díaz (IAC); concept: Carlos del Burgo (IAC/ULL); background: ESO/S. Brunier)
【▲ 若い恒星「HD 114082」を公転する2つの太陽系外惑星のイメージ図(Credit: Illustration: Gabriel Pérez Díaz (IAC); concept: Carlos del Burgo (IAC/ULL); background: ESO/S. Brunier)】

若い恒星と規格外の惑星たち

ケンタウルス座の方向にあるHD 114082は、年齢が約1500万年と推定されており、約46億年の歴史を持つ太陽と比べると非常に若い恒星です。質量は太陽よりも28%大きく、表面温度は約1000℃高く、自転速度は太陽の約15倍に達します。

研究チームは今回、この若い恒星の周りに2つの惑星「HD 114082 b(以下、惑星b)」と「HD 114082 c(以下、惑星c)」が存在することを詳細に特定しました。

論文によると、内側を回る惑星bは木星とほぼ同じ大きさで、地球から太陽までの距離よりも20%ほど恒星に近い軌道を約225.5日の周期で公転しています。一方、外側を回る惑星cは地球から太陽までとほぼ同じくらい主星から離れた軌道にあり、公転周期は約314日と見積もられています。

興味深いことに、惑星cは木星よりも36%大きい半径を持ちながら、平均密度は水の密度の7.5分の1以下しかありません。このことは、惑星cがきわめて膨張した状態にある巨大ガス惑星であることを意味しています。

観測手段の連携で明らかになった軌道の謎

若い恒星は活動が活発で明るさが変動しやすいため、その中から惑星のトランジットがもたらすわずかな減光を見つけ出すのは困難です。

そこで研究チームは、NASA(アメリカ航空宇宙局)の系外惑星探査衛星「TESS」や、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)の宇宙望遠鏡「CHEOPS(ケオプス)」に加え、地上の望遠鏡群から得られた観測データを統合することで、複雑な恒星の光の変動から、惑星による減光のシグナルを分単位の精度で抽出することに成功しました。

また、研究チームによれば、2つの惑星はほぼ円軌道を描き、同一の平面上を公転しています。さらに、互いの重力が影響し合う「軌道共鳴」(公転周期が単純な整数比になる状態)に近い関係にある可能性も示されました。

さらに、主星のHD 114082から遠く離れた場所にある、氷や塵(ダスト)の破片で構成された「デブリ円盤」も注目されています。論文の共著者であるJonathan Marshallさんによると、外側に広がる始原的なデブリ円盤は、惑星の軌道面に対して傾斜しています。このことは、2つの巨大惑星が主星の近くで現在の姿のまま形成されたか、あるいは主星から遠く離れた低温の環境(水が氷になる雪線と呼ばれる境界よりも外側)で誕生した後に現在の位置まで移動(マイグレーション)してきた過程で、内側にあった小惑星や彗星の軌道に影響を与えた結果、現在の惑星系の姿を形作った可能性を示唆しているといいます。

さらなる観測への期待

今回特定されたHD 114082の惑星系は、巨大ガス惑星の形成プロセスや、若い惑星がどのように進化していくのかを解き明かすための重要な手がかりとなります。

del Burgoさんは今後について、天文学者のコミュニティと協力して惑星cの次のトランジットを観測し、公転周期を正確に確定させたいと語っています。周期が確定し、惑星どうしが重力で影響し合うことによって生じるトランジット時刻の変動を詳細に測定できれば、2つの惑星の質量をより正確に絞り込むことが可能になるからです。

また、将来ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡などによる追加観測が行われれば、これらの惑星の大気組成など、まだ解かれていない多くの謎が解明されることも期待できるということです。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典