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銀河と銀河をつなぐ長さ18万5000光年の“橋” オーストラリアの電波望遠鏡が発見

こちらは、おとめ座の方向にある2つの銀河「NGC 4532」および「DDO 137」とその周辺。

上の明るく見える銀河がNGC 4532で、左下の暗く見える銀河がDDO 137です。

2つの銀河の周辺には、月明かりに照らされた夜空の雲のようなものが淡く見えています。これは電波で観測された中性水素ガスの分布を示しています。

相互作用する2つの銀河「NGC 4532」(上)と「DDO 137」(左下)およびその周辺。地上の望遠鏡による光学観測画像とASKAPによる電波観測画像を重ね合わせたもの(Credit: ICRAR, N. Deg, Legacy Surveys (D.Lang / Perimeter Institute))
【▲ 相互作用する2つの銀河「NGC 4532」(上)と「DDO 137」(左下)およびその周辺。地上の望遠鏡による光学観測画像とASKAPによる電波観測画像を重ね合わせたもの(Credit: ICRAR, N. Deg, Legacy Surveys (D.Lang / Perimeter Institute))】

2つの銀河をつなぐ中世水素ガスの“橋”を発見

ICRAR=国際電波天文学研究センター(オーストラリア)/西オーストラリア大学の天文学者Lister Staveley-Smithさんたち研究チームは、NGC 4532とDDO 137をつなぐ“橋”のような、巨大な中世水素ガスの構造を発見したとする研究成果を発表しました。

研究チームによると、2つの銀河をつなぐガスの“橋”は、長さ約18万5000光年に達します(※地球からの距離を約5300万光年とした場合)。ガスの観測にはCSIRO=オーストラリア連邦科学産業研究機構の電波望遠鏡「ASKAP」が使用されました。

相互作用する2つの銀河「NGC 4532」と「DDO 137」およびその周辺。地上の望遠鏡による光学観測画像(右)とASKAPによる電波観測画像(左)を別々に示したもの(Credit: ICRAR and D.Lang (Perimeter Institute))
【▲ 相互作用する2つの銀河「NGC 4532」と「DDO 137」およびその周辺。地上の望遠鏡による光学観測画像(右)とASKAPによる電波観測画像(左)を別々に示したもの(Credit: ICRAR and D.Lang (Perimeter Institute))】

今回発見された構造は、アレシボ天文台で運用されていた電波望遠鏡による過去の観測で発見されていた、水素ガスの“尾”のような構造につながっています。画像の右下方向の視野外へ伸びている“尾”は、長さ約160万光年という長大な構造です。

2つの銀河を取り巻く巨大なガスの構造が形成された理由として、研究チームは、重力を介して相互作用するNGC 4532とDDO 137の間に働く潮汐力に加えて、近接する「おとめ座銀河団」を満たすガスの作用をあげています。

数多くの銀河が集まった天体である銀河団では、銀河と銀河の間を高温の銀河団ガスが満たしています。この中を銀河が移動すると、銀河団ガスからラム圧(動圧)を受けることで、銀河に含まれるガスが剥ぎ取られると考えられています。ガスが剥ぎ取られつつある銀河は幾つも観測されていて、その姿が触手を伸ばしたクラゲに見えることから「クラゲ銀河」とも呼ばれています。

NGC 4532とDDO 137はおとめ座銀河団の中心からかなり離れていますが、観測されたガスの運動において潮汐力とラム圧が重要な役割を果たしていることをモデルを用いた分析の結果が示していると、Staveley-SmithさんはICRARのプレスリリースに寄せたコメントで述べています。

また、Staveley-Smithさんは、この2つの銀河に天の川銀河および大小マゼラン雲(マゼラン銀河)と強い類似性がある点を指摘しています。銀河が時間とともにどのように進化し、ガスがどのように再分配され、そしてどのような条件の下で星が形成されるのかを理解する上で、今回発見された“橋”が重要な知見をもたらすとStaveley-Smithさんは期待しています。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典