小惑星「2024 YR4」の衝突可能性は事実上ゼロに “衝突” 騒動から見えてきた報道のあり方

著者注: 本記事の内容は、2025年2月25日時点での情報をもとに構成しています。

図1: ESO(ヨーロッパ南天天文台)の超大型望遠鏡(VLT)にて赤外線領域で撮影された2024 YR4。(Credit: ESO & O. Hainaut)
【▲ 図1: ESO(ヨーロッパ南天天文台)の超大型望遠鏡(VLT)にて赤外線領域で撮影された2024 YR4。(Credit: ESO & O. Hainaut)】

2025年1月末頃から、「2024 YR4」という小惑星が2032年に衝突するかもしれないと話題になりました。大きめの小惑星としては衝突確率が比較的高く、小惑星衝突のリスクに関する指標である「トリノスケール」にて19年ぶりにレベル2以上の評価を受けたことから、かなり多くのメディアが取り上げたことも関係しています。

しかしながら、小惑星の衝突リスク評価を行うアメリカ航空宇宙局(NASA)や欧州宇宙機関(ESA)は、当初から「多くの場合、小惑星の衝突確率はやがて事実上ゼロになる」と説明してきました。そしてその言葉通り、本記事の執筆時点で、2032年における2024 YR4の衝突確率は事実上ゼロとなっており、2024 YR4は少なくとも今後1世紀の間は衝突しないと評価されています(※1)

一方で、2024 YR4に対する一般社会の反応は、メディアによる小惑星衝突の報道内容に課題が残されていることを示していると筆者は考えます。2024 YR4のような「一時的に衝突可能性が高く評価される、やや大きめの小惑星」の発見は今後増えていくと予測されるため、今後の情報発信について考える良い機会であるかもしれません。

※1…本記事における2024 YR4の衝突確率や物理的性質などの数値は、NASAの地球近傍天体研究センター(CNEOS)の情報を元に記述しています。小惑星の衝突可能性は、ESAなど他の機関も独立して計算を行っているため、機関によってわずかに異なる確率を算出する場合がありますが、大きな違いはありません。

2024 YR4のこれまでの経緯

図2: 白線で示されたのが、2024 YR4の公転軌道。青線で示される地球の公転軌道と極めて近い位置で交差しています。(Credit: NASA JPLNASA Jet Propulsion Laboratory)
【▲ 図2: 白線で示されたのが、2024 YR4の公転軌道。青線で示される地球の公転軌道と極めて近い位置で交差しています。(Credit: NASA JPLNASA Jet Propulsion Laboratory)】

まずはこれまでの経緯を振り返りましょう。今回の話の主題である小惑星「2024 YR4」は、2024年12月27日に「小惑星地球衝突最終警報システム(ATLAS; Asteroid Terrestrial-impact Last Alert System)」によって発見されました。2024 YR4は、地球軌道の内側から火星軌道の外側にまたがる楕円軌道を、ほぼ4年の公転周期で公転しています。

発見直後より、2024 YR4は2032年12月22日に衝突する可能性が無視できないことが判明し、すぐさま世界中の天文台が追加観測や過去の観測データの見直しを行いました。その結果、発見から約1か月後の2025年1月27日に計算された時点で、衝突確率は1%を超えました。

もし、推定直径約55m、推定質量約22万tの2024 YR4が衝突した場合、地球全体の危機とはならずとも、1つの都市に大規模災害をもたらす程度の威力はあります。この程度の大きさの小惑星は、地表に衝突するよりも、空中で分解して衝撃波を出す可能性の方が高く、1908年に発生した「ツングースカ大爆発」と似たような状況が発生するでしょう。2024 YR4程度の大きさの小惑星が衝突する確率は、数千年に1回程度であると考えられています。

この、万が一衝突した場合の被害の大きさと、衝突確率が1%を超えたことを併せ、2024 YR4は小惑星衝突のリスクに関する指標である「トリノスケール」にてレベル3の評価を受けました。

トリノスケールがレベル2以上の評価を受ける小惑星の発見は、レベル4の評価を受けたことのある99942番小惑星「アポフィス」と、レベル2の評価を受けたことのある144898番小惑星「2004 VD17」に次いで観測史上3番目であり、19年ぶりのことです。また、レベル3は観測史上2番目に大きな値です。

図3: 2024 YR4の衝突確率の変遷。衝突確率のピークを迎えた後の確率の変動は、ピークを迎える前より急激であることが分かります。(Credit: 彩恵りり)
【▲ 図3: 2024 YR4の衝突確率の変遷。衝突確率のピークを迎えた後の確率の変動は、ピークを迎える前より急激であることが分かります。(Credit: 彩恵りり)】

2024 YR4の衝突確率は、2月18日算出時点の3.1%でピークを迎えました。確かにこれは記録的なケースであり、筆者が知る限り、トリノスケールレベル1以上の評価を受けた小惑星としては観測史上最も高い値です(※2)。しかしその “王座” は長くは続かず、ピークから2日後の20日にはレベル1へ、5日後の23日にはレベル0への再評価を受けました。

※2…トリノスケールレベル1以上の評価を受けた小惑星に限定した場合、最高記録はアポフィスの2.7%です。衝突しても被害を及ぼさないレベル0(またはそれと同等)の小惑星ではもっと高い確率の例が無数にあり、衝突確率100%と評価されたケースも11例ありますが、これらは全て10m未満の小惑星の話です。ESAでは「30mを超える小惑星の衝突確率としては過去最高を記録した」と表現していますが、これはレベル1の評価を受けるための最低基準とほぼ一致します。

本記事を執筆している2月25日時点では、2024 YR4の衝突確率は0.0017%(5万9000分の1)となっています。しかしこの低い数値すら、額面通りに受け取るべきではありません。2024 YR4ほどの大きさの小惑星に対するレベル0という評価は、天文学者にとっては、その小惑星が衝突する可能性は事実上ゼロであると考えているのと同じことだからです。

Torino Scale Level 0: The likelihood of a collision is zero, or is so low as to be effectively zero. Also applies to small objects such as meteors and bodies that burn up in the atmosphere as well as infrequent meteorite falls that rarely cause damage.

「トリノスケールレベル0: 衝突の可能性はゼロ、または実質的にゼロに近いほど低い。また、流星や、大気圏で燃え尽きるほどの小さな天体や物体、まれにしか被害を及ぼさない隕石の落下にも適用される。」

なお、2032年以降の衝突可能性も、発見当初から計算されてきました。ただし2032年以降の衝突確率は元から非常に低く、トリノスケールも終始レベル0のままでした。現時点で2024 YR4は、少なくとも今後1世紀以内に衝突する可能性はないと見なされています。

なぜ衝突確率が上がり、そして下がったのか

筆者は以前、2024 YR4について触れた記事を執筆しましたが、この時に「2024 YR4の衝突について心配するのは、現時点では杞憂に終わる可能性が高いと言えます。」と述べました。これは、故事成語に引っかけた筆者の感想というわけではなく、小惑星の衝突確率の計算は、その手法上、一時的にどうしても過大に評価されてしまうという性質を踏まえてのことです。

小惑星「2024 YR4」が2032年に衝突する? ただし杞憂に終わる可能性が高い(2025年2月4日)

小惑星が将来的に地球に衝突するか否かを決定するためには、小惑星がどのような公転軌道を持つのかを正確に計算できるかどうかにかかっています。しかし、小惑星の観測には多くの困難があるため、発見直後の小惑星の公転軌道はどうしても不確実になります。最初のうちは、通過する位置の候補は最も通過可能性が高い位置を中心に、ある程度の幅を持つことになります。この候補のどこかに地球が被っていれば「地球に衝突する可能性はゼロではない」と表現されます。

図4: 小惑星の衝突確率の算出方法は、一時的な衝突確率の上昇をもたらします。①発見されたばかりの小惑星は軌道が定まっていないため、予測される通過位置は広い範囲に及びます。②観測が進むと通過する範囲が絞られますが、予測される通過位置の範囲内に地球がある場合、衝突しない確率が減る分だけ、衝突確率は上昇します。③ただし大半の小惑星は、いつかは予測される通過位置が地球に被らなくなり、衝突確率がゼロになります。(Credit: ESA / 著者(彩恵りり)によるキャプチャおよび日本語訳注を追加)
【▲ 図4: 小惑星の衝突確率の算出方法は、一時的な衝突確率の上昇をもたらします。①発見されたばかりの小惑星は軌道が定まっていないため、予測される通過位置は広い範囲に及びます。②観測が進むと通過する範囲が絞られますが、予測される通過位置の範囲内に地球がある場合、衝突しない確率が減る分だけ、衝突確率は上昇します。③ただし大半の小惑星は、いつかは予測される通過位置が地球に被らなくなり、衝突確率がゼロになります。(Credit: ESA / 著者(彩恵りり)によるキャプチャおよび日本語訳注を追加)】

しかし、最初の段階では計算結果に大きな幅が生じるため、通過する位置の候補は幅何千万kmにも渡ります。地球の直径が約1万2800km、月の公転軌道の直径が約77万kmであることを考えれば、いかに広いかが分かるでしょう。もちろん観測が進めば、公転軌道の不確実性は減少し、通過する位置の候補も狭まります。

一方で、地球というマトの大きさは変わりません。通過する位置の候補の幅が狭まれば、そこに地球が重なっている限り、地球に対する衝突確率は相対的に上がることになります。これが、衝突確率の一時的な上昇が起こる理由です。

図5: NASAのCNEOSによる、2024 YR4が2032年の地球接近時に通過する可能性がある位置の解析結果。黄色の点が通過する位置の候補を表します。通過位置の候補が狭まるに従い、衝突確率が上がることがわかります。(Credit: CNEOS)
【▲ 図5: NASAのCNEOSによる、2024 YR4が2032年の地球接近時に通過する可能性がある位置の解析結果。黄色の点が通過する位置の候補を表します。通過位置の候補が狭まるに従い、衝突確率が上がることがわかります。(Credit: CNEOS)】
図6: ESAによる、2024 YR4が2032年の地球接近時に通過する可能性がある位置の解析結果。オレンジの点が通過する位置の候補、黄色の点が通過する可能性が最も高い位置を表します。こちらはESAによる解析結果であるため、CNEOSの解析結果に基づく本文の内容とは一致しないことに注意が必要です。(Credit: ESA)
【▲ 図6: ESAによる、2024 YR4が2032年の地球接近時に通過する可能性がある位置の解析結果。オレンジの点が通過する位置の候補、黄色の点が通過する可能性が最も高い位置を表します。こちらはESAによる解析結果であるため、CNEOSの解析結果に基づく本文の内容とは一致しないことに注意が必要です。(Credit: ESA)】

2024 YR4の場合、通過する可能性が最も高いと算出された位置が地球に近かったため、通過する位置の候補幅が狭まっても、地球が範囲内に重なり続けるという珍しい状況が発生しました。このため、2024 YR4の衝突確率が上がり続け、やがてピーク値3.1%という大きな値となりました。しかし、衝突確率が最も高かった時点でも、2024 YR4が通過する確率が高いのは、地球から約12万3000kmの位置であり、通過可能性が高い位置が地球と重なることは、その前後の期間も含めてありませんでした。

やがて、公転軌道の不確実性が小さくなると、地球の位置は2024 YR4の通過する位置の候補の端に位置するようになります。端の部分は、いくら地球が重なっていると言っても、その位置を通過する可能性は極めて低くなります。このため、名目上は確率がゼロではないと言っても、事実上は衝突確率ゼロであるとみなしても良いことになります。これが、トリノスケールレベル0の意味するところです。

今回の騒動が示すこと

一方で、今回の2024 YR4の衝突可能性に関する騒動は、メディア報道の内容に関する課題を表していると言えます。特に、この種の話題が今後増えていくと予測される状況においては、今回の件で示されたメディアの報道姿勢や、その情報に基づいて発生した一般社会の反応は憂慮すべき部分があるかもしれません。

2024 YR4は、トリノスケールでレベル2以上の評価が出された、実に19年ぶりの出来事です。その話題性から、世界の様々なメディアが報道を始めるのは特に不思議ではありません。

しかし筆者の個人的な意見としては、その報道内容は玉石混交であり、大手メディアや天文系メディアであっても、NASAやESAが発信する情報のニュアンスを反映しているとは言い難いものが含まれるという印象があります。例えば衝突確率をタイトルに入れる記事は多かったものの、先述の通り衝突確率は一時的に過大評価をうけるものであり、そもそも変動しやすいものであることを考えれば、適切な報道とは言い難いと言えます。

例えば、衝突確率のピーク値である3.1%を記録した翌日に衝突確率が1.5%まで半減し、記事が公開された時点ではすでに値が食い違っているという批判を受けた記事もありました。確率が上昇しているように見える時には、毎日のように観測報告と計算結果が発表されるため、ピーク時にこのような食い違いが起こる恐れは高いと言えます。

図7: 2025年1月31日に公開されたCNEOS(NASA)の記事の冒頭部の説明。記事の冒頭から衝突確率が低いことを示す文言が使用されていることが分かります。(Credit: CNEOS / 著者(彩恵りり)によるキャプチャおよび日本語訳注を追加)
【▲ 図7: 2025年1月31日に公開されたCNEOS(NASA)の記事の冒頭部の説明。記事の冒頭から衝突確率が低いことを示す文言が使用されていることが分かります。(Credit: CNEOS / 著者(彩恵りり)によるキャプチャおよび日本語訳注を追加)】
図8: 2025年1月29日に公開されたESAの記事の冒頭部の説明。2月25日に追加された最新情報に促す文言を除けば、やはり冒頭で衝突確率が低いことを示す説明から始まります。(Credit: ESA / 著者(彩恵りり)によるキャプチャおよび日本語訳注を追加)
【▲ 図8: 2025年1月29日に公開されたESAの記事の冒頭部の説明。2月25日に追加された最新情報に促す文言を除けば、やはり冒頭で衝突確率が低いことを示す説明から始まります。(Credit: ESA / 著者(彩恵りり)によるキャプチャおよび日本語訳注を追加)】

また、この種の小惑星衝突に関する話題は、たとえ最初から衝突可能性が皆無の小惑星でさえ、誇張して表現されることがあります。このためNASAやESAが配信する記事では、タイトルか本文の冒頭に、衝突する可能性が低いことを示す文言を入れる傾向にあります。

一方で、NASAやESAの配信情報を元に書いたとするメディアの記事はどうでしょうか? 筆者が見た限りでは、という断り書きをしなければなりませんが、タイトルや本文前半で衝突可能性が低くなることを説明した記事は少なく、後半や末尾になってようやく触れている記事の方が多かったというのが率直な印象です。

中には、衝突可能性が低くなる可能性が高いことを伝えていなかったり、 “シティ・キラー(City Killer)” のように被害重視の表現を使用する記事も存在しました。そして、小惑星衝突は定番のSFネタです。これらの背景を元に記事を見れば、「2024 YR4の衝突確率はこのまま上がり続け、やがて100%になる」「衝突確率数%というのは低いとは言えない」「(都市レベルではなく)地球規模の災害になる」という、実際には誤った受け止めが発生するのはムリもないことでしょう。

筆者としては、このような “風評被害” は、今後増え続ける懸念があると考えています。1990年代後半からの小惑星観測により、衝突すれば地球規模の災害になり得る小惑星はほとんど発見され、少なくとも今後1000年間は衝突しないと考えられています。一方で2024 YR4のように、都市レベルの災害になり得る直径数十mの小惑星は観測が難しく、その大半が現在でも見逃されていると考えられています。その割に、万が一都市上空に差し掛かれば、大きな被害が生じる恐れがあることを考えれば、いつまでも見逃し続けることは不利益であると言えるでしょう。

観測体制の拡充は続けられているため、今まで見逃されてきた直径数十mの小惑星の発見は、今後増えていく可能性が高いと予測されます。発見数が増えれば、今回のように衝突する可能性がある小惑星の報告も増えていくかもしれません。しかし、現状のような報道姿勢が続けば、そのたびに過剰反応が繰り返されるかもしれません。あるいは逆に、何度も同じような報道が繰り返されることにより “オオカミ少年” の状態となり、本当に衝突する可能性が高い小惑星に対しての適切な対応が遅れることになるかもしれません。

そして、今回のように短期間で小惑星の公転軌道を絞り込むには、世界中の観測データを統合しなければなりません。空が万人に開かれていることも併せると、過剰反応を防ぐことを目的に、衝突確率が100%に近くなるまで小惑星の情報を伏せるような方法は現実的ではありません。仮に情報統制ができたとしても、100%近くになるまでには時間がかかります。万が一に備えて小惑星の衝突を回避する手段が実行できたとしても、衝突がほぼ確実になるまで情報を伏せていたために対策が間に合わなくなり、かえって衝突が不可避になる、そんな事態が起こる恐れは十分にあります。

筆者としては、現在の状況はあまり良くないと考えています。状況が改善されるには、専門機関が伝える内容を、そのニュアンスも含めて正確に伝えるメディア・記事が増える必要があります。トリノスケールの文言は、小惑星衝突に関するメディアの過剰な報道を受けて、約20年前に全面的な改訂がされています。そろそろメディアの側も対応してもいいのではないでしょうか?

そして、これらの情報を受け止める一般社会においては、玉石混交の情報社会において、真に正確・有用な情報を拾い上げることが求められます。小惑星衝突の情報を正確に伝えようとすると、タイトルやリード文は地味になるため、目に留まりにくくなるかもしれませんが、きちんとした内容の記事をシェアすることは、誠実な姿勢のメディアの存続にも貢献することでしょう。

2024 YR4は月に衝突するかも?

記事の終わりに、2024 YR4に関する他の興味深い点をお話しましょう。

2024 YR4が2032年に地球に衝突する可能性は事実上排除されましたが、(少なくとも今のところは)無人である月に対する衝突の可能性は残されています。とは言えその確率は、記事執筆時点で1.7%とやはり低いものであり、恐らく今後の計算で衝突しないと評価される可能性の方が大きいでしょう。

しかし万が一月面に衝突するとなれば、それはかなり注目すべき出来事となるでしょう。大気がほとんどない月では、2024 YR4は確実に月面に到達し、直径約2kmのクレーターを作ると予測されます。多少の岩片が飛び散る可能性はありますが、地球の大気で燃え尽きるほど小さく、二次災害の心配はありません。そして、衝突で生じる光は、地球からでも肉眼で見えるほど明るくなるかもしれません。衝突しなければ始まらない話ですが、キロメートルサイズのクレーターが形成される様子をリアルタイムで観察できるとなれば、一般社会へのインパクトはもちろんのこと、天文学の研究においても極めて貴重な機会となるでしょう。

また、低い可能性ながら、2024 YR4の破片が既に地球に来ている可能性もあります。2015年1月9日、ブラジルのサンパウロ上空で日中でも見えるほどの明るい火球が観測されました。その直後に発見された隕石は、発見地から「ポランガバ隕石(Porangaba meteorite)」と名付けられました。

火球の移動した方向から、隕石の素となった小惑星の公転軌道を概算することが可能ですが、2024 YR4の発見後、ポランガバ隕石の元々の公転軌道が、2024 YR4のものとある程度一致することが分かりました。この研究ではポランガバ隕石の元の天体の他に、2024 YR4と公転軌道が一致する可能性がある小惑星を5個挙げています(※3)

※3…「2017 UW5」「2018 GG4」「2019 SC」「2020 MQ61」「2020 DM3」の5個。

隕石の素となった小惑星が特定されることは珍しく、実際に一致すればかなり珍しい発見例となります。しかし、一致精度はあまり高くなく、この内容は覆される可能性が高いかもしれません。

 

Source

文/彩恵りり 編集/sorae編集部