2024年12月の星空情報 火星と月の接近を見よう

12月に入り、昼夜を問わず冷たい風が吹く時季となりました。夜になると凍り付くような寒さとなり、外に出るのも勇気がいりますが、寒い分、澄み切った星空を楽しむことができます。

2024年12月中旬 20時頃の東京の星空(Credit: 国立天文台)
【▲ 2024年12月中旬 20時頃の東京の星空(Credit: 国立天文台)】

西の空には、秋の空の目印「秋の四辺形」が見られます。秋の四辺形は、秋の星座の王者である「ペガスス座」の体の星です。四辺形の南西側で黄土色に輝くのは、惑星の一つ「土星」です。土星は太陽系の惑星で2番目に大きい巨大ガス惑星で、美しい環(リング)が特徴です。秋の星空で見ごろを迎えていた土星は、秋の星座とともに西の地平線へ沈んでいこうとしています。等級は1.0(※1)で非常に明るいというわけではありませんが、1等星の少ない秋の星空の中で、存在感を放っています。

秋の四辺形の北側の星を線で結び、東へと延ばしていくと、空高い場所に2等星が見つかります。この星は「ハマル」(ひつじの頭)という名前で、おひつじ座の額に当たる星です。おひつじ座は星占いの第一番目であり、冬の星座の先導者です。
おひつじ座の東側へ目を移すと、小さな星の集まりがあります。プレアデス星団(すばる)と呼ばれる散開星団(※2)で、街明かりの少ない場所では、肉眼でも5~7個程度の星が集まっているのが分かるでしょう。

プレアデス星団から更に東へ目を移すと、オレンジ色の1等星があります。この星の名前は「アルデバラン」です。「後を追うもの」という意味で、プレアデス星団を追いかけるように上るために付けられた名前です。
アルデバランはおうし座の瞳に当たり、その周辺にはVの字に並んだ顔に当たる星があります。このV字の星の並びも散開星団で、ヒアデス星団といいます。
肩に当たるプレアデス星団から、さらに角や前足の星を結ぶと、「おうし座」の完成です。
おうし座の角の間には、煌々と輝く明るい星があります。惑星の一つ「木星」です。太陽系最大の巨大ガス惑星で、現在は-2.8等級(※1)という明るさです。

おうし座のさらに東隣には「ふたご座」があります。オレンジ色の1等星ポルックスと、白い2等星カストルが並ぶ様子は、まさに仲良く寄り添った双子の兄弟のようです。
ふたご座の南西側、足元のあたりに火星があります。火星は地球の半分くらいのサイズの岩石惑星で、地表に酸化鉄が含まれているため赤く見えます。等級は-0.8(※1)とかなりの明るさです。

冬の星空は色もさまざまな1等星で彩られ、1年の中で最も華やかです。さらに今年は土星や木星、火星といった明るい惑星を一緒に楽しめます。
冷たい風が吹く夜、外出するのは勇気がいるかもしれませんが、にぎやかな星空のステージが私たちを待っています。温かい格好をして、冬の星座や惑星に会いに行ってみてください。

※1…土星、木星、火星の等級は日本時間2024年12月15日0:00時点のもの(国立天文台暦計算室 今日のほしぞら参照)
※2…散開星団:数十個~数百個の星がゆるく不規則に集まっている星団。若く高温の星から構成されていることが多い。 

ふたご座流星群とプレアデス星団食

2024年12月14日(10時頃)はふたご座流星群の極大日です。ふたご座流星群は三大流星群の一つに数えられる規模の大きな流星群で、好条件下では1時間に50~60個程度の流星が見られます。比較的夜早い時間帯から見られるため、小さなお子様にも見やすい点でも魅力的な流星群です。

しかし、残念ながら今年の条件は良くありません。満月前の月が一晩中輝き、流星のかすかな光を消してしまうためです。建物の影に月を隠し、暗闇に目が慣れるまで辛抱強く空を眺めれば、1時間に10個程度の流れ星は見られると予想されています。
同じく12月14日の午前3時~5時頃には、月がプレアデス星団を構成する星を次々隠していく「プレアデス星団食」も見られます。流れ星を探しがてら、プレアデス食の観察をしてみるのも良いでしょう。

火星と月の接近

2024年12月18日には、火星と月の接近を見られます。接近時の火星の明るさは-0.9等(※3)と非常に明るいため、月明かりに負けない赤い輝きを楽しめるでしょう。

月が火星に接近(Credit: 国立天文台)
【▲ 月が火星に接近(Credit: 国立天文台)】

火星は2年2か月ごとに地球との最接近を迎えます。次回の最接近は2024年1月12日であり、最接近頃の等級は-1.4等級(※4)と、1等星で最も明るいシリウス並みの明るさです。
火星は日によって位置や明るさが大きく変わります。他の天体との共演や、明るさの変化をダイナミックに楽しめる火星に注目しつつ、冬の星空を眺めてみてはいかがでしょうか。

※3…火星の等級は日本時間2024年12月18日0:00時点のもの(国立天文台暦計算室 今日のほしぞら参照)
※4…火星の等級は日本時間2025年1月12日0:00時点のもの(国立天文台暦計算室 今日のほしぞら参照)

 

 

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文・編集/sorae編集部