
JAXA(宇宙航空研究開発機構)は2026年7月11日、小型実験機「RV-X」による再使用ロケット実験の初めての飛行試験を秋田県の能代ロケット実験場にて実施しました。
JAXAによると、機体は離陸から着陸まで正常に飛行し、飛行試験は成功を収めました。宇宙輸送コストの抜本的な低減を目指すうえで、日本の基幹ロケットの再使用化に向けた重要な一歩となります。

延期を乗り越えて23年ぶりの離着陸成功
現在のロケットは1回限りの使い捨てが主流ですが、将来的な宇宙利用の拡大には、アメリカのSpaceX(スペースX)社が運用している「Falcon 9(ファルコン9)」ロケットや開発中の「Starship(スターシップ)」のように、繰り返し使用できる宇宙輸送システムの確立が不可欠と言えます。
JAXAによる再使用型ロケットの飛行試験は、2003年に実施された「RVT-9」以来、実に23年ぶりとなります。今回のRV-X飛行試験は当初2026年3月に予定されていましたが、機体からケーブル等を切り離す地上設備(クイックディスコネクト)の不具合によって、直前で延期されていました。
当日の記者説明会に登壇したJAXA研究開発部門の伊藤隆さんによると、チームは約3か月半をかけて設備の改修やソフトウェアの改善を行うとともに、習熟度を高める訓練を重ねて今回の実験に臨んだということです。
計画通りの安定した飛行を実施
今回の試験では、再使用型ロケットの実現に向けた関連要素技術の検証や、飛行環境におけるシステムの健全性検証が主目的とされました。
JAXAが公開した速報値によれば、2026年7月11日6時14分55秒に離陸したRV-Xは、約40秒間飛行した後に無事着陸に成功しました。最高到達高度は約11m、水平移動距離は約16mを記録しており、すべて事前の計画値(飛行時間約40秒、高度10m程度、水平移動15m程度)とほぼ合致する精度の高い飛行でした。
また、伊藤さんによれば搭載されたエンジンはこれまでに165回もの燃焼試験を耐え抜いたものであり、着陸後の機体も脚部周辺の断熱材に想定内の熱ダメージ(焦げ跡)が見られる程度です。今回のデータ分析や機体の点検が行われた後に、2回目の飛行試験実施も検討されています。




データは日仏独の共同プロジェクト「CALLISTO」へ
RV-Xの飛行で得られたデータは一連の試験終了後に評価解析等が行われる予定となっており、JAXAがCNES(フランス国立宇宙研究センター)やDLR(ドイツ航空宇宙センター)と共同で開発を進めている1段再使用飛行実験プロジェクト「CALLISTO(カリスト)」に直接フィードバックされます。
CALLISTOはロケット1段目の再使用化を目指し、重要技術に関する知見の蓄積を目的とした日仏独の取り組みで、フランス領ギアナのギアナ宇宙センターにて、より実践的な大気上層や超音速域での飛行試験が予定されています。

誰もが気軽に宇宙を行き来できる未来へ向けて、RV-Xの飛行試験で得られたデータの詳しい評価解析と、CALLISTOの進展に期待が高まります。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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参考文献・出典
- JAXA - 再使用ロケット実験RV-X(小型実験機)の飛行試験結果(速報)の報告 (YouTube)
- JAXA - 基幹ロケットの再使用化による打ち上げコストの低減
- JAXA - 1段再使用飛行実験(CALLISTO)プロジェクト

























