
こちらは、ハッブル宇宙望遠鏡が観測した渦巻銀河「LEDA 198197」。ちょうこくしつ座の方向、地球から約7億8000万光年先にあります。

偶然が生み出した奇跡的な銀河の配置
互いに近い距離にあるとみられる大小2つの渦巻銀河が、偶然にも重なり合って見えています。この宇宙には無数の銀河が存在しますが、このように2つの銀河が綺麗に重なって見えるケースはそう多くありません。
NASA(アメリカ航空宇宙局)によると、背後の大きな銀河であるLEDA 198197は私たちの天の川銀河とほぼ同じサイズであり、手前の小さな銀河と比べて約10倍の大きさを持っています。
銀河の境界を越えて広がる暗い塵
画像をよく見ると、LEDA 198197の明るい中心部分とその周辺を、手前の小さな銀河の外縁部が隠すように重なったことで、星々が輝く銀河円盤のさらに外側へと伸びている塵(ダスト)の複雑な構造が、暗いシルエットとして浮かび上がっています。
NASAによれば、このような塵の構造は暗い宇宙空間に溶け込んでしまうため、通常であれば観測できません。冒頭の画像ではLEDA 198197が背後の強力な光源となることで、手前の小さな銀河の塵の広がりが明らかになっています。
画像が公開された2008年当時、目に見える銀河の境界線を越えてこれほど遠くまで塵の存在が確認されたのはかつてないことだとされており、こうした大規模な塵の構造が他の銀河でも一般的な特徴なのかどうかについて、天文学者たちは強い関心を寄せることになりました。
このような塵の構造の研究を通じて、銀河の色や明るさに対する塵の影響を正しく理解することは、銀河の本来の明るさを知るために不可欠だといいます。本来の明るさがわかる天体は、見かけの明るさとの違いをもとに、地球からの正確な距離を割り出すことができます。つまり、塵の研究は、宇宙で距離を測定する上でも重要な取り組みなのです。
偶然がもたらした発見の意義
実は、このLEDA 198197と小さな銀河のペアは、ハッブル宇宙望遠鏡が渦巻銀河「NGC 253」を観測した時に偶然背景に写り込んだものでした。NASAによると、周辺に散らばる光点のほとんどはNGC 253の星々であり、この銀河もまた重なって見えていることになります。

ハッブル宇宙望遠鏡による観測結果は後に論文として発表され、銀河の構造を理解するための重要なケーススタディのひとつとなりました。こうした重なり合う銀河を利用した塵の観測手法は、他の銀河における塵の分布を調査する手法として活用されています。
冒頭の画像はNASAやESA/Hubbleから2008年9月16日付で公開されたもので、NASAのハッブル公式Xアカウントが2026年7月9日に改めて紹介しています。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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参考文献・出典
- NASA - Galaxy Silhouettes
- ESA/Hubble - Galaxy Silhouettes
- ESO - Wide-field view of NGC 253 from the VLT Survey Telescope
- Holwerda et al. - AN EXTENDED DUST DISK IN A SPIRAL GALAXY: AN OCCULTING GALAXY PAIR IN THE ACS NEARBY GALAXY SURVEY TREASURY (The Astronomical Journal)
- Holwerda et al. - VLT/VIMOS observations of an occulting galaxy pair: redshifts and effective extinction curve (Monthly Notices of the Royal Astronomical Society)























