広告
広告
千葉工業大学、ガスハイブリッドロケットを用いた推力方向制御の燃焼試験に世界で初めて成功

千葉工業大学(惑星探査研究センター 非常勤主席研究員 兼 工学部 宇宙・半導体工学科 教授:和田豊氏ら)は2026年1月23日、千葉県夷隅郡御宿町の御宿ロケット実験場にて、ガスハイブリッドロケットと推力方向制御(TVC)装置を組み合わせた地上燃焼試験を実施し、成功したと発表しました。

同大学によると、ガスハイブリッドロケットを用いたTVC地上燃焼試験は世界初ということです。

推力方向制御装置を用いた燃焼試験の様子(Credit: 千葉工業大学)
【▲ 推力方向制御装置を用いた燃焼試験の様子(Credit: 千葉工業大学)】

気球からロケットを空中発射する「ロックーン」方式に向けた取り組み

同大学は、気球でロケットを成層圏付近まで上昇させ空中から発射する「ロックーン(Rockoon)」方式の研究開発を進めています。空中発射を行う高度では空気密度が低く、空力による姿勢制御が難しいため、エンジンの推力方向を変えて姿勢を制御する技術が欠かせません。こうした課題に取り組むプロジェクトが「Hestia(ヘスティア)」で、ガスハイブリッドロケットにTVCとスロットリング(推力調整)技術を組み合わせ、将来的なフライト実証を目指しています。

燃焼中の推力偏向を確認

ガスハイブリッドロケットとTVC装置の外観(Credit: 千葉工業大学)
【▲ ガスハイブリッドロケットとTVC装置の外観(Credit: 千葉工業大学)】

今回の試験は推力2.0kN、燃焼時間8.0秒の条件で実施されました。TVC装置には2つのアクチュエータが搭載されており、燃焼中にロケットモータを横方向へ動かして推力の向きを変える「推力偏向」の確認を目的としています。なお、TVC装置は株式会社ソーワエンジニアリングとの共同設計・製造によるものです。

試験に用いられたガスハイブリッドロケット(GHR)は、燃料を一度ガス化してから酸化剤と同じ気相同士で混合させることで、通常のハイブリッドロケットよりも燃焼効率が高い点が特徴です。本試験では構造を簡略化したダイレクトインジェクション型のGHRが採用されました。

6分力ロードセルの計測値と記録映像の分析から、TVC装置が計画通りに動作し推力偏向が達成されたことを確認しています。

今後はTVC装置の応答性向上へ

同大学は今回の成果について、Hestiaプロジェクトを大きく前進させる結果だとしています。今後はTVC装置の応答性向上や推力偏向の追従性改善に取り組む方針です。本試験にはAstroX株式会社、株式会社黒磯製作所、株式会社ソーワエンジニアリング、株式会社LifeTechRobotics、日油株式会社、有限会社ピー・マックスが共同研究・協力企業として参画しています。

 

文・編集/sorae編集部

関連記事

参考文献・出典