NASAがispaceの月着陸機「レジリエンス」衝突地点の画像を公開

NASA=アメリカ航空宇宙局は2025年6月20日付で、日本の株式会社ispaceの月着陸機「RESILIENCE(レジリエンス)」が月面に衝突した痕跡を捉えた画像を公開しました。

NASAの月周回衛星LROが観測した、ispaceの月着陸機RESILIENCEの衝突地点(矢印)(Credit: NASA/GSFC/Arizona State University)
【▲ NASAの月周回衛星LROが観測した、ispaceの月着陸機RESILIENCEの衝突地点(矢印)(Credit: NASA/GSFC/Arizona State University)】

NASAが公開した画像は、同局の月周回衛星「LRO(Lunar Reconnaissance Orbiter、ルナー・リコネサンス・オービター)」に搭載されている光学観測装置「LROC」の狭角カメラを使って取得されたものです。

画像の中央を見ると、明るい表面に囲まれた、黒いしみのような部分が写っています。NASAによると、黒い部分はRESILIENCEが月面に衝突してレゴリス(月の土壌)を巻き上げた時に形成されたもので、周囲の明るい部分は低い角度で飛散したレゴリスが月面を削ることで形成されたとみられています。

NASAは半年前の2024年12月に取得された同じ地点との比較画像も公開していて、RESILIENCEの衝突によって生じた月面の変化を確認できます。

月着陸機RESILIENCE衝突地点の衝突前(2024年12月16日観測)と衝突後(2025年6月11日観測)の様子を比較したアニメーション画像(Credit: NASA/GSFC/Arizona State University)
【▲ 月着陸機RESILIENCE衝突地点の衝突前(2024年12月16日観測)と衝突後(2025年6月11日観測)の様子を比較したアニメーション画像(Credit: NASA/GSFC/Arizona State University)】

RESILIENCEについて

RESILIENCEはispaceの月面探査プログラム「HAKUTO-R」のミッション2「SMBC x HAKUTO-R VENTURE MOON」の月着陸機で、月の北半球にある「寒さの海(Mare Frigoris)」に着陸する予定でした。

着陸は日本時間2025年6月6日未明に試みられたものの、高度約100kmの月周回軌道を離れて降下に移った後、着陸目前で通信が途絶えており、同日中にミッションの終了が発表されていました。

ispaceは2023年4月にもHAKUTO-Rミッション1で月面着陸を試みましたが、この時も着陸に失敗し、月着陸機は月面に衝突したとみられています。

なお、ispaceは日本時間2025年6月24日10時から、着陸失敗に終わったミッション2の技術要因分析の報告会を開催する予定です。

ispaceの月面探査プログラム「HAKUTO-R」ミッション2の月着陸機「RESILIENCE(レジリエンス)」(Credit: ispace)
【▲ ispaceの月面探査プログラム「HAKUTO-R」ミッション2の月着陸機「RESILIENCE(レジリエンス)」(Credit: ispace)】

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典