欧州の「Vega C」ロケット飛行再開フライトは日本時間12月5日朝の予定

ヨーロッパの宇宙企業Arianespace(アリアンスペース)は、日本時間2024年12月5日に「Vega C(ベガC、ヴェガC)」ロケットの打ち上げミッション「VV25」の実施を予定しています。

2022年12月に打ち上げ失敗したVega Cの飛行再開フライト

ギアナ宇宙センターから打ち上げられた「Vega C」ロケット初号機
【▲ ギアナ宇宙センターから打ち上げられた「Vega C」ロケット初号機。2022年7月撮影(Credit: ESA-CNES-Arianespace/Optique video du CSG - S. Martin)】

Vega Cは「Vega」の後継機として開発されたロケットです。高度700kmの極軌道への打ち上げ能力はVegaの1.5トンに対してVega Cでは2.2トンに向上。全長は34.8mで、1段目とフェアリングの大型化によりVegaから5m延長されています。

Vega Cは2022年7月の「VV21」ミッションで初飛行に成功したものの、続く2022年12月に実施された「VV22」ミッションでは2段目に異常が発生して衛星の軌道投入に失敗。固体燃料ロケットモーターのノズル部分の再設計と、地上試験での性能検証が進められていました。

Vega Cのフェアリングへの格納作業が始まった地球観測衛星「Sentinel-1 C」
【▲ Vega Cのフェアリングへの格納作業が始まった地球観測衛星「Sentinel-1 C」。2024年11月撮影(Credit: ESA/CNES/Arianespace/Optique du vidéo du CSG–S. Martin)】

飛行再開フライト(Return to Flight: RTF)となるVV25ミッションでは、地球観測衛星「Sentinel-1 C(センチネル-1 C)」がVega Cで打ち上げられます。Sentinel-1 Cはヨーロッパの地球観測プログラム「コペルニクス計画(Copernicus)」の下で開発された衛星で、昼夜や天候を問わず地上を観測できる合成開口レーダー(SAR)を搭載しています。

また、Sentinel-1 Cには船舶自動識別装置(AIS)からの信号を受信するためのアンテナも搭載されています。欧州宇宙機関(ESA)は、レーダー画像とAIS信号を組み合わせることで広範囲の船舶を素早くリアルタイムに検出・識別することが可能であり、違法行為の兆候の可能性があるAIS信号を発信していない船舶を含め、世界の海上交通をモニタリングする国際機関や企業にとって不可欠だと述べています。

※…船名・位置・針路・速力などの船舶情報を他の船舶や陸上局との間で自動的に送受信するために、一定の基準を満たす船舶に搭載が義務付けられている装置。

地球観測衛星「Sentinel-1」シリーズの想像図
【▲ 地球観測衛星「Sentinel-1」シリーズの想像図(Credit: ESA/Mlabspace)】

Sentinel-1 Cを搭載したVega Cはフランス領ギアナのギアナ宇宙センターから日本時間2024年12月5日6時20分に打ち上げられる予定です。

 

Source

  • Arianespace - Arianespace to Launch European Union’s Copernicus Earth Observation Sentinel-1C Satellite on December 3, 2024
  • Arianespace - Flight VV25 Now Scheduled On December 4, 2024
  • ESA - Sentinel-1C arrives in French Guiana
  • SpaceNews - Vega C return to flight slips a day

文・編集/sorae編集部