NASAの新しい太陽観測衛星「ソーラー・オービター」が、2月8日に打ち上げを予定しています。ソーラー・オービターは欧州宇宙機関(ESA)とNASAの協力によるもので、米フロリダ州のケープ・カナベラル空軍基地から2月8日13時15分(日本時間)に打ち上げられる予定です。

ソーラー・オービターは米ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)のアトラスVロケットにより打ち上げられた後、金星と地球の重力を利用して予定の軌道へと進みますが、その軌道は太陽観測にとって「未知の領域」となります。地球や他の惑星が太陽の周りを回る公転軌道を離れ、「鳥の目」のように太陽の北極・南極を見下ろすような位置から太陽を観測するのです。なぜこのような軌道を取るのでしょうか?

ソーラー・オービターの予定軌道の一部(白)。地球や他の惑星に比べて傾いた軌道を取る。
Credits: ESA/ATG medialab

太陽は私たちの周囲の宇宙空間に大きな影響を及ぼしています。太陽の磁場は太陽から冥王星に至るまでの距離をはるかに超えて広がり、電気を帯びた粒子が時おり太陽から放出され(「太陽風」と呼びます)、場合によってはGPSや通信衛星、宇宙飛行士を脅かす存在にもなります。太陽風の予測には太陽の磁場が重要となりますが、これまでの太陽観測衛星では地球から見て真正面(太陽の「円」の中央)ほどもっとも観測しやすく、北極や南極を観測しようとすると角度が急になるため観測が難しいというのが実情でした。

太陽全体の磁場を正確に理解するには「北極・南極が特に重要」とNASAのプロジェクト・サイエンティストであるホリー・ギルバート氏は述べています。そのため、ソーラー・オービターは太陽の北極・南極を観測しやすい軌道を取るのです。

太陽風が地球の磁場に衝突する際のシミュレーション。
Credits: NASA’s Goddard Space Flight Center/Scientific Visualization Studio/Community-Coordinated Modeling Center

また、太陽は約11年の周期で太陽黒点が増えて活発になる「極大期」、黒点が減って穏やかになる「極小期」を繰り返すことが知られています。しかし「なぜ11年周期なのか、また極大期の強さはなぜいつも同じではないのかはわかっていません」とギルバート氏は言います。この仕組みを生み出す「種」とも言えるのが太陽の北極・南極の磁場であり、日本の太陽観測衛星「ひので」を含めたこれまでの(急な角度からの)観測により理解は進んできていますが、ソーラー・オービターによりさらに精密な観測ができるでしょう。

ソーラー・オービターは水星の軌道よりも太陽に近い場所を通り、10の観測機器で太陽を観測します。太陽の熱から観測機器を保護するためチタンを主としたシールドを装備しており、480度以上の熱に耐えられるよう設計されています。予定されている7年間のミッションの中では2018年に打ち上げられた太陽観測衛星「パーカー・ソーラー・プローブ」とも連携して観測を行います。パーカー・ソーラー・プローブが太陽のごく近くから観測を行い、ソーラー・オービターがその周辺を含めて観測することで、パーカー・ソーラー・プローブが捉えた現象がどのような環境下で起こっているのかを理解しやすくなることも期待されています。

 

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Image Credit: ESA/ATG medialab
Source: NASA
文/北越康敬

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