
(引用元:NASA)
静かな荒野と丘。空のグラデーションが合成感を出している1枚。
アメリカ航空宇宙局(NASA)が公開している「Mars Perseverance Raw Images」では、火星探査車「Perseverance」が撮影したRAW画像を日々更新しています。今回ご紹介するのは、Perseveranceのミッション第215週にあたる2025年5月20日に、マストにある右のナビゲーションカメラ(Left Navigation Camera)で撮影された1枚です。
※…2025年5月20日はPerseveranceのミッション1461ソル目にあたります。1ソル(Sol)は火星の1太陽日を指し、地球時間で約24時間40分に相当します。
- Image Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU
- NASA - Mars Perseverance Sol 1510: Right Navigation Camera (Navcam)
今回の画像は、Perseveranceが現在調査している「ジェゼロ・クレーター」内の緩やかな丘陵地形を撮影したものです。見わたすかぎり静かな荒野が広がり、地表には小さな石がそこら中に散らばっています。
空の色が左から右へかけて暗く見えるのは、広角レンズ特有の「ビネット効果」と、右上にわずかに写り込んでいるナビゲーションカメラのレンズハウジング(黒い部分)だとみられます。なお、公開されているナビゲーションカメラのカラー画像は、他のカメラと内部処理方式が異なるため、空がやや緑がかって見えます。
こうした光学的な効果もあいまって、丘と空の境界がどこか合成写真のように感じられるかもしれません。ですが、これも火星上で撮影した実際の風景なのです。
火星探査車Perseveranceとは
Perseveranceは、NASAが2020年に火星に送った探査車で、火星の地質や気候の調査、古代生命の痕跡の探索、将来の有人火星探査に向けた技術実証を目的としています。

ナビゲーションカメラについて
ナビゲーションカメラ(Navcam)は、Perseveranceのマストに搭載されている2つのカメラ「Mastcam-Z」の両隣に配置された、走行を補助するためのカメラです。Perseveranceが火星の表面を安全に走行できるよう、進行方向を決めたり周囲の地形を把握したりする際などに利用されます。
編集/sorae編集部