
私たちが住む天の川銀河とアンドロメダ銀河(M31)は接近し続けていて、数十億年後に衝突・合体すると予想されてきました。
ところが、フィンランドの研究者らのチームが最近発表した研究成果によれば、この確率はもっと低いかもしれません。

100億年以内に直接衝突する確率は“2分の1”?
研究チームはハッブル宇宙望遠鏡とガイア宇宙望遠鏡の観測データを使用して、100億年後までを予想する10万回のシミュレーションを実施。
その結果、天の川銀河とアンドロメダ銀河が今後100億年以内に直接衝突する確率は、約50%だと結論付けられました。
シミュレーションの半数では、約200キロパーセク(約65万光年)以下の距離を隔ててすれ違った後、再び接近して最終的に合体。40~50億年後に正面から衝突する確率は、わずか2%程度でした。
一方、残りのケースでは十分に接近することなくシミュレーションが終わる結果となりました。
シミュレーションでは互いの伴銀河の影響も考慮
今回の研究では、天の川銀河とアンドロメダ銀河に加えて、双方の伴銀河(衛星銀河)である大マゼラン雲(LMC)とM33の動きも考慮してシミュレーションが行われました。M33は合体する確率を高め、大マゼラン雲は反対に確率を低くするような影響を及ぼすといいます。
研究チームは、天の川銀河をはじめ数十個の銀河が属する局所銀河群の未来はまだ未知数であり、予測を行うためにはより正確な観測データが必要だと指摘しています。

ひとことコメント
100億年といえば宇宙の年齢の約7割。1人の人間からすれば途方もなく遠い未来を予測することの難しさを改めて感じます。(編集部)
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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参考文献・出典
- NASA - Apocalypse When? Hubble Casts Doubt on Certainty of Galactic Collision
- ESA - Hubble and Gaia revisit fate of our galaxy
- Sawala et al. - No certainty of a Milky Way–Andromeda collision (Nature Astronomy)