星形成領域が彩る渦巻腕のリング ハッブル宇宙望遠鏡が観測した“しし座”の銀河「M96」

こちらは、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が観測した渦巻銀河「M96(Messier 96)」。

しし座の方向、約3500万光年先にある銀河で、「M95」や「M105」といった銀河が属する「M96銀河群」の中でも最も明るい銀河として知られています。

少しゆがんだ渦巻腕(渦状腕)はリングを形作るかのように一体となって、明るい中心部分を大きく取り囲んでいます。

青く彩られた渦巻腕のリングのあちこちではピンク色の斑点が輝き、塵(ダスト)の豊富な暗い雲も渦巻いている様子が捉えられています。

ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が観測した渦巻銀河「M96」(Credit: ESA/Hubble & NASA, F. Belfiore, D. Calzetti)
【▲ ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が観測した渦巻銀河「M96」(Credit: ESA/Hubble & NASA, F. Belfiore, D. Calzetti)】

ピンク色は若い星が放射する紫外線によって電離した水素ガスが赤色の光を放っている場所で、HII(エイチツー)領域と呼ばれています。

HII領域はガスと塵を材料にして新たな星が生み出される場所であることから、星形成領域とも呼ばれます。

ESA=ヨーロッパ宇宙機関によると、ハッブル宇宙望遠鏡はM96を繰り返し観測していて、2015年と2018年にも画像が公開されています。

3回目となる今回は、巨大なガス雲の中で星がどのようにして生まれるのか、雲に含まれる塵がどのようにして星からの光をさえぎるのか、誕生した星が周囲の環境に対してどのような影響を与えるのかを研究するために取得された、新しいデータが使用されました。

この画像は“ハッブル宇宙望遠鏡の今週の画像”として、ESAから2025年8月25日付で公開されています。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典