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塵のベールに隠された若き星々を探る 赤外線で観測した星形成領域「いっかくじゅう座R2」

こちらは、ESO(ヨーロッパ南天天文台)のVISTA望遠鏡で観測した星形成領域「いっかくじゅう座R2(Monoceros R2)」。いっかくじゅう座の方向、地球から約2700光年先にあります。

VISTA望遠鏡で観測した星形成領域「いっかくじゅう座R2(Monoceros R2)」(Credit: ESO/J. Emerson/VISTA; Acknowledgment: Cambridge Astronomical Survey Unit)
【▲ VISTA望遠鏡で観測した星形成領域「いっかくじゅう座R2(Monoceros R2)」(Credit: ESO/J. Emerson/VISTA; Acknowledgment: Cambridge Astronomical Survey Unit)】

この画像は、VISTA望遠鏡で取得した赤外線の観測データを使って作成されました。赤外線は人間には見えないため、色は観測時に使用されたフィルターに応じて擬似的に着色されています。

漆黒の宇宙空間をキャンバスに描いた抽象画のような、幻想的な光景が広がっています。赤やピンクに彩られた渦巻くガスや塵(ダスト)のフィラメント構造と、輝く青白い星々とのコントラストに美しさを感じます。

分厚いベールに覆われた星のゆりかご

いっかくじゅう座R2のような星形成領域は、水素ガスや塵を材料にして新しい星々が次々と生み出されていることから、“星のゆりかご”と呼ばれることもあります。

ESO(ヨーロッパ南天天文台)によると、画像の中央付近で明るく目立っている雲、その中央付近に位置するいっかくじゅう座R2の中心部では、差し渡し2光年に満たない狭い範囲に大質量星が密集している高密度な領域が存在しています。画像全体に広がる赤やピンクの印象的な構造の多くは、若い星から激しく噴出したガスの流れ(アウトフロー)に含まれる水素分子の発光によるものとみられています。

また、明るい雲の右端の部分は1784年に天文学者ウィリアム・ハーシェルが発見した反射星雲で、「NGC 2170」と呼ばれています。可視光線で観測したいっかくじゅう座R2は反射星雲の集まりに見えますが、塵にさえぎられにくい赤外線を利用することで、分子雲の奥で誕生したばかりの若い星々を観測することができます。

ESOによれば、赤外線で観測された星々のうち、最も質量が大きいものは誕生から1000万年未満の若さです。まだ塵の円盤に取り囲まれている、生まれたばかりの大質量星らしき明るい赤外線源の集まりも確認されたといいます。

星が形成される環境は低温で高密度な分子雲の中であるため、星の進化の最も初期段階を理解する上で、赤外線観測は非常に強力な手段となるのです。

可視光線(左、Digitized Sky Survey 2)と赤外線(右、VISTA望遠鏡)で観測した星形成領域「いっかくじゅう座R2(Monoceros R2)」(Credit: ESO/J. Emerson/VISTA/Digitized Sky Survey 2. Acknowledgment: Cambridge Astronomical Survey Unit)
【▲ 可視光線(左、Digitized Sky Survey 2)と赤外線(右、VISTA望遠鏡)で観測した星形成領域「いっかくじゅう座R2(Monoceros R2)」(Credit: ESO/J. Emerson/VISTA/Digitized Sky Survey 2. Acknowledgment: Cambridge Astronomical Survey Unit)】

さらに見つかる星々と今後の期待

2024年に発表された研究成果によると、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)が運用していたガイア(Gaia)宇宙望遠鏡の観測データをもとに、過去の赤外線観測やX線観測では見逃されていた600個以上の新たな星がいっかくじゅう座R2で発見されており、全体では1000個近い星々が特定されています。

今後も継続的な観測を行うことで、この領域における星形成活動の全貌が明らかになっていくことでしょう。

冒頭の画像はESOから2010年10月6日付で公開されたもので、ESOの公式SNSアカウントが2026年7月23日に改めて紹介しています。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典